星の輝く夜に
聖魔大戦。
異世界より舞い降りた人の勇者一行と、悪の限りを尽くした魔王の戦い。
それは熾烈を極めたが、ついに勇者が魔王を討ち滅ぼした。
人の街は歓喜に満ち溢れ、永遠の繁栄が約束された・・・かに思われた。
それから10年・・・。
『心を研ぎすませよ。イメージは光のシャワー。その中心から大地へ突き刺さるイメージで・・・。』
ここは大秘境『レント』。
その森の奥深く。
私、カルラ・テラムは巨大な切り株の上で足を組み、両手をまっすぐ天に伸ばして、蒼い夜天の頂を見つめていた。
『魔力が馴染んでいる。これならいける!』
そのままゆっくり、手をくっつけて花を作る。
『焦らず、高ぶらず、風を纏わす・・・。』
やがて、その中に光が生まれ、渦を巻く。
『最初はゆっくり、徐々に早く・・・。』
目に留まる早さだった光の玉が目にも止まらぬ速さで回転し、強い輝きを放っている。
『まだだ。ギリギリまで引きつける。・・・よし!』
カルラは玉を優しく包み込む。そして。
「空を突き抜け!流星雨!」
空へと勢いよく解き放った。
ギュイイイン・・・。
実際音がした訳ではないが、玉は過たず、頂へ突き進み、そして・・・。
「弾けよ!」
彼女の一言と共に、光は四方八方へ分散し、夜空を彩った。
「出来た!」
カルラの声は弾む。
魔法の素質を持ち、様々な技が使える彼女だが、大魔法と呼ばれる彼の魔法には些か苦労した。
「半年位かぁ。そういえば私も十五歳になってしまったのか・・・。」
でも・・・。
『戦は続いている筈。私はこの魔法で勇者様に認めてもらうんだ。そして私も英雄になる。』
空には星が輝いていたが、彼女の大きな瞳にも希望が満ち溢れていた。
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