ショートカットキーとの出会いから「コピー履歴の世界」へ
―― エルさん、効率化の扉をひらく ――
中小企業の事務職に就いて3ヶ月目。エルさんは、週明けの会議資料をまとめるため、前回の議事録から定型文を何度もコピペしていた。右クリック → コピー → 別のファイルに切り替えて → 右クリック → 貼り付け…の繰り返し。目も手も、なんだか無駄に疲れる。
「それ、ショートカット使ったほうが楽だよ」
背後から声をかけてきたのは、隣の席の斎藤先輩。軽く肩越しに言って、Ctrl+CとCtrl+Vの指の動きを実演してくれる。
「えっ、そんな簡単にできるんですか!?」
早速真似してみると、手の動きが一気にスムーズになる。「あれ、もう貼れた!?」――その小さな感動が、エルさんの表情ににじむ。
斎藤先輩はさらに続けた。
「慣れてきたら、Windowsキー+Vも使ってみなよ。コピーした履歴がぜんぶ出てくるから、“一個前のコピー”とか、探さなくて済むからさ」
言われたとおりにやってみると、そこにはずらりと並んだコピー履歴。「これさっきの…!」「あ、さっき消しちゃったやつ、戻せるんだ…!」
エルさんはその日、一気に2段階くらい“デキる事務員”に近づいた気がした。
かつては「入力だけで精一杯だったのに…」と思いながら、次々と貼り付けていく指先に、自然とリズムが宿る。