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夏のホラー参加作品

寿命


1人の若者が神社で願い事をしている。


「大金持ちになれますように」




同じ頃、大金持ちの老人が道を歩いていた。


老人は健康の為に会社からの帰り道は歩いて帰る事を心がけている。


歩きながら老人は考えていた。


『中学卒業してから働き続けたお陰でそれなりの地位と財産を得ることができた。


だが、働き続けで人並みの青春を体験することができなかった。


青春を体験するために若い身体に成れないものか? 成れるのなら幾ら金が掛かろうとも支払うのだが』




若者が参拝を済ませ神社の長い階段を下りようとした時、足を滑らせ長い階段を転がり落ちて行く。


若者は長い階段を転がり落ち、偶々神社の長い階段の前を歩いていた老人と激突した。


暫く2人は神社の長い階段の前に横たわり身動しなかったが、老人がもそもそと動き出し若者に声をかける。


「すいません、大丈夫ですか? アレ? 俺? じゃあ俺は?」


老人に揺すられて若者も身体を起こす。


「え? 何故? 儂が目の前にいるのだ?」


激突したことにより2人の魂がそれぞれ相手の身体に入ってしまったらしい。


「キャッホー!」


若者の身体を得た老人はそれを知ると歓喜の叫び声を上げ駆け出す。


老人の身体に入ってしまった若者は自身の身体を取り返そうと駆け出した若者を追いかけて走り出したが、10数歩走ったところで胸を抑え倒れる。


心筋梗塞だった。


一方の老人の魂が入った若者は歩道を走り横断歩道上を駆けていく。


横断歩道を半ばまで渡り終えていた若者の身体を、信号無視のトラックが跳ね飛ばし路面に叩きつける。


寿命が尽きた2つの魂を回収に来た死神は、死因と魂の位置が逆な事に気がついたが細かい事だと気にせずに2つの魂を回収するのだった。






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― 新着の感想 ―
[良い点] せっかく願い事が叶ったのに、死んでは何にもなりませんね。 まあ、人の寿命というものはそんなものかも……。
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