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名前のないもの

作者:この作品に作者名はない。僕の名前を書くわけにはいかなし、彼女が書いているとも限らない。そもそも、僕にも彼女にも名前がない。
 彼女が何を探しているのか、彼女自身も知らない。
 彼女が何所からきたのか、彼女自身もしらない。
 彼女を誰が生んだのか、彼女は知らない。
 彼女が何をしていたのか、彼女もしらない。
 彼女は何所を目指しているのか、彼女は知らない。
 彼女は何も知らない。
 けれど、彼女の旅には目的がある。
 彼女には、探しものがる。
 彼女は探しものについて何も知らない。
 これは、彼女の物語である。
 それが、どんな物語であるのかは、彼にしかわからない。
 彼女も彼も、全ては知らない。
 知ることができるものは、名前のないものだけである。
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