帰宅後の日常①
部屋に戻り、僕は本を読んでいた。
ほう、この魔導具には【物の反発力を高める】効果があるらしい。
何を読んでいるかというと、魔導具大全、この本にはこの世界のあるあらゆる魔術付与品が記録されている本だ。
この本は父さんが見てきた魔導具を自分の見解で効果を理解し、書き記した物らしい。
ちなみに魔導具とははるか昔に作られた物でかなり希少性が高く、持っている人も少ない。
まぁ、その父は僕が3歳を迎えた年に行方不明になったのだが。
父さんのことはよく覚えていない、3歳の頃の記憶など覚えている方が珍しい。
この本は僕が高校入学と同時に貰ったものだ。
母さん曰く入学祝いらしい。
僕は貰ったその日からちまちま読み進めている、だがこの本は読みずらい。
なぜなら父さんが直筆で書いたものだからだ。
父さんは字が汚くて解読が難しい。
本を読んでいる途中、
「竜にぃー!そろそろご飯だよー!」
そんな声が聞こえてきた。
ふと時計を見ると自室に戻ってから40分程度たっていた。
やけにお腹が空いている訳だらお腹が空いてることを自覚すると更にお腹が空いてきた。
そして僕は本を片付けリビングに向かう。
「ごめん、来るのが少し遅れた」
「竜にぃ遅いよ〜!」
ごめんごめんと謝りつつ、僕は椅子に座る。
「竜人君も来た事だし頂きましょうか」
「そうだね!」
「「「いただきます」」」
声を合わせて僕達はそう言う。
ちなみにいつもご飯は優奈と織音が一緒に作ってくれている。
僕も手伝おうとするが、2人曰く僕が一緒に作ると人が食べる物じゃ無くなるらしい。
ただいつも何もしないのは悪いので時間がある時は食料の買い出しの荷物持ちをしている。
「やっぱり2人が作るご飯は美味しいな」
「竜人君は嬉しいことを言ってくれますね!」
優奈は口元に手を当てそう微笑んでくる。
ちなみにお世辞ではない本当に美味しいのだ。
その笑顔に僕の心臓は鼓動を早める。
別に恋愛感情を持っているわけではない。
だが、優奈の容姿は並以上だ。
目はくっきりしていて、まつ毛は長い。
髪は肘まであり、見とれるほどに綺麗な黒色だ。
身長は160cmほどあり、体重も聞いてみた所、乙女の秘密らしい。
そんな優奈だが実は僕たちとは血が繋がっていない。
それもそのはず、優奈は僕が連れてきたのだ。
公園の隅に座って少し悲しい目をしている優奈を僕は放っておくことができなかった。
食事中にそんなことを考えていると織音が急に僕達に問いかけてきた。
「高校どうだった?2人はクラス違うの?」
「いや、それが一緒だったんだよ」
「私達だけじゃなくて、晴人君も同じクラスですよ」
問いかけにそう答える。
「晴人も一緒になったんだ、すっごい偶然だね!」
織音は少し驚いた顔をしていた
「知り合いがいるのは結構気が楽だよね」
「そうですね!」
そんな他愛もない話を終え、ご飯も食べ終わったので僕は全員分の食器を片付けソファに腰を下ろした。