プロローグ 『また失敗した』
現在、第1話を執筆中ですが、このプロローグを掲載することに楽しみだったので、ここに掲載します!
偉大英雄の像と大魔王ジャカールの槍の間に、無力な姿で立っていた。マントは破れて血に染まり、その血が自分だけのものなのか、それともジャカールの無数の生き物のものなのか、もはやわからない。
意識は薄れ、周囲が炎に包まれているにもかかわらず、寒気がした。もうすぐ死んでしまうと思った。
息を引き取ったミツキの記憶に残ったのは、
「あんたは負けた。この場所、そこにいる人々、家族、友人、恋人、そして最終的には自分の人生を失った。あんたは弱い.... 軽蔑してる」
と、大きな声で言う悪魔の言葉だった。
本当だ。すべてが本当だった。愛する人を守れなかったのだ。
ミツキは何に怒っているのだろうか。ジャカールの手下と彼らがもたらした殺戮に、それとも自分の弱さか。
『それで?魔法の頂点を極めたのに 、失敗したのか?
馬鹿にするな!これまで集めてきた力、この王国への献身、結んだ絆、そして―ー 彼女への愛情』
ジャカールではなく、別の存在の言葉だった。
ミツキはその言葉を心の中で聞いて、これ以上賛成できない。このままでは終われないと思ったのだ。
『――死にたくない』
槍を放し、硬くひび割れた地面に倒れ込む。
魔軍団の群れ共に上から見ていただけのジャカールに向かって、ゆっくりと手を挙げようとする。
「ハァ... 早く終わらせよう、見ていて可哀想だ」
そう言うと、ジャカールは一瞬にしてミツキの前に移動し、首根っこを掴んで持ち上げる。二人の視線が交錯する。
そして、
「あんたはまた失敗した」
ジャカール、外科的で正確な一撃でミツキの胸を貫く。
「ぐはぁ―」
こうそして、
ついに《最強魔道士》が死んだ。
ーー/ーー
マギ • アカデミーの門の前に立つミツキは、瀕死の重傷を負った人のような顔をしていた。今起こった自分の不思議な状況について、汗をかきながら真剣に考えた。
彼にとって、大魔王ジャカールとその手下たちとの戦いと死は、1分ばかり前のことだった。
ショックを受けた目のまま、自分の肩に誰かが触れてるのを感じるーー。