ヤーイヒッカカッタ
月と火星を開拓したとき、謎の宇宙人の痕跡があった。
文字みたいなもので文章が綴ってあったり、設計図の図面のようなものがでてきた。
宇宙考古物理学者のタイソンは、宇宙開拓団に所属しているが、この痕跡の謎解きが仕事だった。
文章を解読するには、より多いサンプルが必要だった。コンピュータにインプットして、あらゆる可能性を追求した。
「……読めた!なになに?『ここまで来た。足跡を見る者あるいはそれを踏む者、私の今の心がわかるか?何もないところを開拓してゆく者の気持ちがわかるか?』」
「『喜びと寂しさ、達成感と虚しさ』」
一度、カチリ、とカギが開いたら、言葉の奔流に飲み込まれそうだった。
「『あとから来たものにこれを残そう。ヤーイヒッカカッタという』」
何やら図面で説明されている。
『ヤーイヒッカカッタ』?コンピュータの解読ミスだろうか?他の言葉に置き換えられなかったんだろうか?タイソンは眉根を寄せて苦悩した。
とりあえず、進捗状況を他のクルーに伝えた。
図面通りになにかを組み立てることになった。
それは、文章を吐き出す機械らしかった。
『これはヤーイヒッカカッタである。お前たち、先へ進んでいるつもりだろうが、後のことはちゃんと気をつけているか?早くおうちへ帰りなさい!』
ドーン!ビリビリビリ。
「大変だ!地球が侵略されている!」
「なんだって!?」
無数の宇宙船が地球へ舞い降りてゆく。
『この装置が完成した暁には、我々に攻撃合図を送ることとなる』
「なんてことだ……」
タイソンたちは呆然として制圧されてゆく地球を指をくわえて見ているしかなかった。