表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

マイナスの意味

作者: まいまいん

どうしてマイナスの感情はあるのだろうか。

プラスの感情だけならみんなずっと幸せでいられるのではないか。

そんなことを思ったことは無いだろうか。

僕も昔、そんなことを思っていたことがあった。

でも、あの出来事があってから僕はそんなことを思わなくなった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「お前、そんなことでビビってんの?」

「だっせぇw」

「ほんとに男かよ」

そんなことを言われた。

今、男子の中で「度胸試し」で、高いところにある橋から川に飛び降りるということが流行っていた。

他のみんなが飛び込んでいく中、僕だけが飛び込めなかったのである。

友達からは馬鹿にされ、僕は逃げるように家に帰った。

「怖い」なんて感情なければいいのに。そしたら僕だってみんなと一緒に飛び込めたはずだ。

そんなことを思いながら眠りについた。

そして、また次に「度胸試し」に行った時、僕は何も思わず飛び込めた。

そこで気づいた。

本当に「怖い」という感情が無くなっていたということに。

そのとき、僕は願いがかなったんだと喜んだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

別の日

僕が大切にしていた物がなくなってしまった。

昔おばあちゃんに買ってもらったもので、ずっと大事に持っていたものだ。

そのとき僕は悲しくなった。

そして、「怖い」と同じように「悲しい」も無くなればいいのにと僕は思った。

そして、「悲しい」という感情はなくなった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

また別の日

僕は大きな怪我をした。

とても痛く、辛い思いをした。

僕は「痛み」も無くなればいいと思った。

そして、「痛み」という感情もなくなった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

同じようにして、マイナスの感情は僕が思った通りどんどん消えていった。

ただ、僕はそんな世界にだんだん違和感を覚えてきた。

マイナスの感情が無い分みんな幸せな思いをしている。

だれ1人苦しまず、不幸だと思う人もいない。

そんな世界素晴らしいと思わないか?

だけど、僕はそんな風にはおもえなかった。

「恐怖」「悲しみ」「痛み」「苦しみ」「怒り」「悩み」

「失望」「罪悪」「落胆」「屈辱」「恨み」…

負の感情を失い、正だけが残った世界。

この世界では、「怖さ」がないため、危険事への認識がほとんどなく事故が多発した。

「痛み」がないため、怪我を恐れることがなくなり、重症の患者が増えた。

「悲しみ」がないため、それらで大切な人が亡くなっても誰も涙を流さない。

どんなことがあっても正の感情しかないから、みんながずっと笑っている世界。

僕はこの世界を「気持ち悪い」と思った。

だから僕は、負の感情が戻るように願った。

そして、世界は元に戻った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

負の感情は本当に必要ないのか。

僕はこの体験の後、調べてみることにした。


そもそも恐怖や痛みなどは、生存本能から来るものであった。

自分の命に関わる可能性があるものを無意識に避けようとする働きが恐怖であり、痛みがあることでそれに危険を感じることが出来る。

逆に言えばこれを失うと、死に対する恐怖もないため、危機管理ができずに命を落としてしまうのである。

怒りや嫉妬などの感情は、この感情をバネに前に進もうとするために必要である。

罪悪感や落胆は、同じミスをしてしまわないために必要である。

また、これら負の感情があるからこそ正の感情がより強く感じられる場合もある。

たくさんの辛い思いを乗り越えれば、溜め込んだだけの幸せが得られるということもある。

人はよく負の感情を避けたがる。

それは本能としては当たり前である。

しかし、負が無ければ正も無くなってしまうということにも気づくべきだろう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

僕はこの体験をもとにどんな辛いことがあっても前向きに進むことができるようになった。

マイナスの意味を知り、どんなにマイナスでもそれはプラスへと繋がっているんだということを知った。


[完]


読んでくれてありがと

これで前向きに人生を送って欲しい

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ