4. 議会
装備品や待遇など、贅沢な注文を付けたりしない限りは自衛軍が存続していけるだけの予算を、議長は考えて算出している。
しかし日常的に魔物の襲撃を退けている、今の自衛軍には不満だった。もっと予算がないと給与の面でも心許なく、安心して任務に取り組めないのだとか。
副議長は何故か自衛軍の予算を減らそうとしている。
増やす気は無いが、減らすのもどうかと考えあぐねている議長は、両者の板挟みにされた。
渋る議会と一歩も譲らない自衛軍。
間に入って、王は今月も防衛予算を通す。
商工ギルドには商人同士が揉めないように、それとなく見守る事や、新しく商売を始めたい人と旧来の商店街との折衝の際には間に入ってもらうよう重々頼んである。国民が平穏に商売が出来るよう、采配するのも王の仕事だ。
金鉱山の視察も王は欠かさず行う。
そこに関わる職人街の労働者と商人、それと都心に住む貴族との間に格差と、そこから来るであろう不満が生まれないよう、税額や給料など双方の調整をして『過不足の無い』政治を心掛けている為だ。
ここは人間と魔族が互いを認め合い、争いを止めた、万能超人である『勇者』が出現しなくなった世界だ。
各国の君主や都市の首長は、誰もが多忙を極める。
それを知っていて、アルフレッドは覚悟を決めて王になった。
敬愛する父親から王冠と権力を引き継いだ以上、父祖が築いてきた狭くも豊かな国を守り続ける。
それが、コルトシュタイン国王たるアルフレッド=フォン=コルトシュタインの役目なのだ。
ここで言うプロローグの前提とは
・コルトシュタイン国とは?
・アルフレッド王とは?
・上記二つの現在の状況は?
・これから何が始まろうとしているのか?