初修行
学塔の中に入るのは初めてだ。
僕とリュカは期待に胸ふくらませながら、40階の修行場に向かう。
途中で、三六流のことを教えてもらった。
7帝龍の王龍から連なる流派で、上に3つの将龍、6つの長龍の流派があって、兵龍の流派が42あるらしい。
要するに、7帝龍のひ孫のような流派だそうだ。
「おう。みんな、今日も遅れずに来たな。リュリュにリュカも馴染んでいるようでよかった。」
サブローさんは、嬉しそうに言った。
「「「よろしくお願いします!」」」
「各自アップを済ませたら、型の打ち込みを始めろ!リュリュとリュカは俺が型を教える。」
「「よろしくお願いします!」」
僕とリュカは90度のお辞儀をした。
「もうここの流派のことは聞いてると思うが、俺は兵龍。だからと言うわけじゃないが、潜在能力的に教えられることも限られてくる。特にスキルは3つ、魔法に至っては魔法結界の一つしか教えられない。だが、しっかり取り組んでくれ!」
「「はい!」」
「じゃあ、早速スキルの一つ目、流水を教えよう。これからお前らが対応できるギリギリで、打ち込んでいくから、それを捌ききれ!」
「2人同時ですか?」
「ああ、そうだな。二人とも俺の左右に別れて構えろ!」
僕らは急いで棍棒と棒を構えた。
三手。
僕の首筋で、木剣が止まる。
「急いで、構え直せ!」
サブローさんが、急かす。
僕は、棍棒を構える。
2手。
2手。
3手。
2手。
…。
それから、どれくらいの時間が経っただろう。
僕は視界が真っ白になるような感覚を感じながら、ひたすらサブローさんの木剣を受け続けていた。
僕は心地良さを感じながら、まどろみの中で棍棒を振り続けた。
サブローも楽しくなっていた。
いいね。
こいつら根性が違う。
もう、4時間打ち合ってるが、まるで集中力が切れない。
少し、早足で行ってみるか。
サブローは徐々に、リュリュとリュカが気づかないように力を上げて打ち込むようにし出す。
それでも、リュリュもリュカもついてくる。
むしろ体のキレは、どんどん良くなっている。
門下生たちも異常に気づく。
最早、13歳に対する打ち込みではない。
もし、受けそこなったら怪我では済まない。
それでも、リュリュとリュカは対応していたのだ。
2人は異常だったが、それでも、門下生は自身の修行の手を止めない。
むしろある者はいつもより、重い打ち込みをし、ある者はいつもより、技にキレがあったと言う。
それは、先輩としての意地であり、武人としてのプライドであり…。
そして、何よりリュリュ、リュカの気迫にあてられたことによって気合いが入った結果だった。
いつも通り、最善最高なのはドランくらいだったそうだ。
皆の修行は、お昼になっても戻ってこないことを心配して、エルアさんが学塔まで様子を見に来るまで続いた。