入寮
学塔…。
1000を超える流派の修練場の集まりで、交流試合なども盛んに行われている。
勿論、流派ごとに人気にも差がある。
一番人気は、7帝龍、7大魔王、5武勇者の流派。
次点で、90の龍、28の四天王、15の聖守護士の流派。
残りの流派にも伝統的なものはいくつかあるが、多くは新興の流派だ。
そして、何のつても無くこの街に来た子供は、新興の流派に入る。
人気のある流派は、すでに定員いっぱいなのだ。
寮に着くと、そんな説明を受けた。
寮母のエルアさんだ。
竜人の特徴があるので、もしかしたらサブローさんが知り合いの寮に入れてくれたのかもしれない。
「勘がいいね。そうよ。ここは、三六流の門下生が寝泊まりする寮よ。」
「えっ?部外者の僕たちがいいんですか?」
「部外者じゃなければ問題ないさ。行く場所が決まってないなら三六流に来なよ。」
「僕ら、そこまでしていただいて良いんですか?」
「まあ、わかんないけど、大丈夫じゃない?」
エルアさんは笑った。
「それより、食事にしよう。」
言われて、僕はそう言えば、何日もろくに食べれていなかったことを思いだした。
リュカを起こして、食堂に行く。
食堂は、僕たちだけ。
ゆっくり食事を食べた。
おかわりも自由だったので、リュカと2人で長い時間かけて、ゆっくりたくさん食べた。
「良い食べっぷりね!作っているこっちも気分がいいわ!しっかりミルクも飲みなさいね。」
「「はい!」」
食事が終わったら、風呂に入って、今日の所は旅の疲れもあるので、寝ることになった。
麻でできた涼しい服を頂いたので、それを着て寝た。
リュカは僕と同じ部屋がいいと言ったが、女の子は別の棟にということになった。
リュカの他にも女の子はいるらしいのだが、リュカは仲良くできるだろうか。
少し心配になった。
そして、次の日、朝早く目が覚めた僕は食堂で顔を洗い、朝の修行の準備をする。
食堂で、リュカと合流。
「リュカ。今日くらいはゆっくりしていても良かったんだよ?」
「お兄ちゃんだって、朝から体動かすつもりだったんでしょ?」
「…まあ、それはそうだけど。」
「置いて行こうとするなんて、ダメだよ!」
「わかったよ。でも、無理はしないようにね。」
「うん。でも、不思議なんだけど、元気が有り余ってるんだよね。なんでだろう?」
「うーん。食事のおかげかも!」
「あ、そっか。おいしかったな。今日は、何が出るんだろう?」
リュカが楽しそうで何よりだ。
それから、僕たちは棍棒と木の杖で、打ち込みしながら走り、太陽が昇るくらいの時間には寮に戻ってきていた。
寮に戻るとエルアさんが二人分のタオルと着替えを用意してくれていた。
「あんたら、朝早くから元気ね。その調子なら学塔でも大丈夫かな。とりあえず、風呂で汗、流してきなよ。」
そして、さっぱりして食事の時間になった。
食堂には、30人くらいの子供たちがいた。
「じゃあ、自己紹介よろしく。」
エルアさんが僕とリュカを先に紹介する時間をくれたようだ。
「リュリュです。昨日、この街に会ってきました!よろしくお願いします!」
「リュカです。兄と一緒に来ました。よろしくおねがいします!」
「よろしくー!」「逃げんなよー!」「リュカー!一緒に修行しようね!」
緊張したが、皆、優しそうだ。
「リュカは、女子連中で面倒見てやってくれ。リュリュは、とりあえず、あそこで手を振ってるドランについて行け。じゃあ、食事にしようか!」
ドランさんが、僕を手招きで呼ぶ。
「ここ、空いてるからこっち来な。」
「失礼します。」
「俺らは同じ門下生だからため口でいいぜ。」
ドランさんは笑った。
それから、食事を終えて、皆で学塔に向かった。