入学
「やっとたどり着いた。」
僕は妹のリュカとともに0の街の中心、学塔に向かう。
リュカは、周りをきょろきょろしている。
「お兄ちゃん、子供がいっぱいだね。」
「ここは、そういう所だからね。」
「お兄ちゃん!走ろう!」
言うなり、リュカは走り出した。
僕は、それに付き合うように走った。
「…今の2人。なんだか気になる。」
腰まである赤い髪の竜人は2人を見つめていた。
僕たちは、結構な速さで走ったので、学塔まですぐに着いた。
「おー、今日も元気な奴が来たな。」
走ってきた僕たちを出迎えてくれたのは、竜人の特徴を持った優しそうな人だった。
「リュリュです。」
「リュカです。」
「リュリュにリュカか。俺は、王龍様の所の兵龍36番だ。気軽に、サブローって呼んでくれ。」
「「はい、サブローさん。」」
「いくつか質問するぞ。まず、2人は何歳だ?」
「僕は、今年で13歳になります。リュカは今年で12歳です。」
「じゃあ、まだリュカは正式には入学できないな。一応特待生枠の受験受けてみるか?」
リュカは首をひねる。
「特待生枠って?」
「年齢に関係なく入学資格を得られる制度だ。それを受けて合格すると、リュリュと同じ学年で授業が受けられる。」
「お兄ちゃんと一緒に!?受けます!トクタイセー!」
リュカはサブローさんに飛びついた。
「リュリュも受けられるが、どうする?」
「僕は普通に入れるなら普通に入ります。」
「そうか。まあ気が変わったら言ってくれ。じゃあ、次の質問だが、師匠とか先生とかはいるか?」
「僕は、特にそう言う人はいません。」
「はいはーい。私は、お兄ちゃんが教えてくれました!」
「よし、わかった。じゃあ、これは、早速リュカの試験を始めようか。…俺は、攻撃をしない。どうにかして俺を倒せ!」
「わかりました!インフェルノ!」
リュカは、爆炎の魔法を発動する。
「…どうした?そんものか?」
(今のは、なんだ?魔法結界でガードしていなかったらかなりやられていたぞ?)
「レーヴァテイン…」
爆炎の刀身が天高くそびえる。
街中にいた住人もそれを目撃していた。
赤い長髪の竜人は、屋根の上からそれを眺める。
「…。やっぱり、あの子。」
「おいおい、それは、やべえぞ。」
サブローは、効き腕を半龍化し、魔法結界を一瞬で5重に展開した。
「…スラッシュ!」
リュカは、爆炎の剣を振り下ろした。
攻撃は、魔法防御4枚を突破して、サブローに迫る。
サブローは最後の魔法防御を半龍化した腕に集め、力と魔力で強引に攻撃をそらした。
爆炎の煙が、周りを包み込む。
その後には、木の杖を持って、大の字で眠るリュカがいた。
「リュリュ。リュカは合格だ。お前らは何者だ?」
「…?兄妹です。」
「…兄妹。まあいい。これは、寮の鍵だ。学塔は一日中開いてるから、落ち着いたら顔を出しな。」