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Dmmerung des tiefen roten Mondes  作者: 月猫
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初めての授業

一時限目の授業は使い魔の召喚。

俺は既に使い魔を使役している。さて、どうしたものか。

使い魔の召喚は迷いの森近くの広場で行われるらしい。

未だ、質問責めになっているものの、おもむろに立ち上がり、教室から出る。

すると、教室から走って俺のそばに来たやつがいた。


「一緒に行こうぜ?」

「構わないが、お前の名前は?」

「ヒズミ。ヒズミ・クリード・クローチェ。ヒズミで良い」

「あぁ」

「確か、使い魔の召喚ってウィザースの森近くの広場でだったよな?」

「ウィザースの森…?」

「まぁ、迷いの森とも言われている」

「あぁ、アレ、か。」


あれが迷いの森、だと?なかなか笑わせてくれる。

あんなのが迷いの森だったらイースト地方にある「漆黒劇場(ホワイトライオット)」と呼ばれる洞窟は正真正銘の迷いの洞窟だ。

あんな場所にはもう二度と行きたくないね。そう思っていると、広場に着いていた。


ブラッド達は授業開始30分前についた。もう既にそこにはサージェス教諭が立っていた。

授業開始15分前にはブラッド達より後にでたクラスメイト達が着いていた。

流石に授業開始5分前になるとほとんどのクラスメイトが着いていたが、数人の姿が見当たらない。

すると走って向かってくる者たちがいる。

「よし、これで全員揃ったな。早速使い魔の召喚方法を教えよう。まず、魔方陣の上に掌をかざし魔力を送り込む。その後『我、汝と契約せざる者。今この刻よりその姿を現せ』と唱えればお前等のレベルに見合った獣たちが出てくるはずだ。それから、使い魔にはランクがある。E~Cランクが犬や猫、そういった類だ。B~Aランクが(ウルフ)とか魔龍(ドラゴン)とかそういった類だな。大体お前らぐらいだと、このランクが多いはずだ。因みに、銀狼(シルバーウルフ)はランクAではないからな。S~SSSランクの使い魔はランクSの雷鳥(サンダーバード)銀狼(シルバーウルフ)ぐらいしか発見されていない。それ以外は未知の世界だ。…と、まあこんなところだ。一人ずつ名前を呼ぶから、俺のとことへ来てくれ」


全員がそろうと、サージェスは全員に聞こえるように告げる。

ブラッドは、ランクS以上の使い魔しか使役しないし、そんな初歩中の初歩、ブラッドは知っている。一人ずつ、名前を読み上げていくサージェス。ヒズミの番になり、サージェスの前に行く。


「先生、俺もう使い魔いるんですが」

「なら、呼んでみろ」


ヒズミは呟くように「アイス」と言うと、ランクSの銀狼シルバーウルフが出てくる。


「こいつが俺の使い魔です。な、アイス?」


アイスと呼ばれた銀狼シルバーウルフは頷いた。


「分った。次、アイリス」


俺の番だ。俺も既に使い魔はいる。

ま、どうにでもなる、かな?

二人いっぺんに出しちゃえば問題ないか。

俺が後から文句言われることはないしな


「俺も、いるんですけど、使い魔」

「では、呼んでみろ」

「俺、二人使い魔いるんですけど、二人とも呼んでいいです?」

「…っ!!あ、あぁ」


この時点で、サージェスは流石、創帝だと思っていた。

サージェスはブラッドの使い魔を知ってはいたが、如何せん、この格好の時に「創帝」と呼ばれるのは今の世界の法律じゃ原則禁止となっている。

「創帝」と呼ぶのを許されるのは、紅色のローブを羽織った時のみ。


「じゃ、呼びますね?クローネ、リン」

『はいはーい。リンちゃんだよ』

『…、久方振りだな、ブラッド』


リンは、天使族(エンジェル)でクローネは悪魔族(デーモン)


『『ランクはSSだ(よ)』』


サージェスはびっくりしていた。が、それは演技だと知っているブラッド。

…知ってはいるものの、流石にここは合せてやらないといけない。


「…?クローネとリンが俺の使い魔なんですが、問題でもありますか?」

「い、いや‥、問題はないよ」

「クローネ、リン、戻って構わないよ?」


二人とも頷くだけに留まってくれ、クローネとリンは空間を歪ませそこへ入っていった。

要は、元の場所に戻った、ということだ。

ついでに言うと、クローネとリンは恋人同士。

だが、天使(エンジェル)悪魔(デーモン)はつきあっては良いが、交わってはいけない。

ましてや、結婚なんてもってのほか。

天使(エンジェル)悪魔(デーモン)が結婚して子供ができたとしても、ハーフ体。

ハーフ体がどんなに辛いかなんてブラッドが一番よくわかっている。

その話は、また今度話してやるから、話を進めよう。

サージェスも、この時点でビックリはしていた。

が、それは、ブラッドが授業とは言え本物の使い魔を呼んだ行為に対して、だ。

別にランクSの使い魔でも構わないだろうに。


「……、俺が何故ランクSSの使い魔を使役できるかわからない、という顔をしていますね。ま、それも無理もありませんけど」


ニコッとこれ以上詮索しないようにという牽制をこめた笑みを浮かべた。

本当は、ブラッドも知っていた。サージェスは俺の正体に気付いている、と。

とはいえ、迂闊に喋ることは出来ない。

そうこうしているうちにチャイムが鳴り、一時限の授業が終了した。広場から教室に戻ろうと足を向ける、ブラッドとヒズミ。


「アイリスとヒズミは残るように」


とサージェスに止められる。

仕方ないな、といわんばかりに面倒そうにサージェスの元へ戻る二人。


「で、何ですか?」


若干いらいらした口調でヒズミが言う。


「俺も早く戻りたいんですけど」


ブラッドもブラッドでサージェスは俺が創帝だと知っているくせに何故呼びとめるのかがわからなかった。


「ウィザースの森を歩きながら話そうか」


サージェスは有無を言わさないような口調で言う。

ブラッドとヒズミは顔を見合せ軽くため息をつくと、サージェスの後についていった。

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