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Dmmerung des tiefen roten Mondes  作者: 月猫
15/23

模擬戦

話が終わったと思ったのか、帰ろうとする人が結構いた。

そんな人にブラッドは声を掛ける。


「まだ、帰んなよ?次は、模擬戦するからな!」


ニヤリとした笑みを浮かべて言い放つブラッド。


そんなことを言い放つブラッドに合格者たちは待ってました!といわんばかりの歓声。

誰もかれも、ブラッドと模擬戦するのを望んでいるのだ。

もちろん、今回は、ブラッドはヒズミとの約束があるため、ヒズミと模擬戦をするつもりだ。

例年でいけば、模擬戦で勝ち残ったもの一人だけがブラッドと模擬戦できる。


「早速だが、これから模擬戦闘を行う。今から呼ぶものは俺の前に来てくれ。模擬戦闘だからと言って手を抜くなよ!」


模擬戦とはいえ、ランクS同士、ランクSS(ダブルエス)同士が戦うわけではなく、ランダムで決定する。

その組み合わせはブラッドが独断と偏見で決定する。

次々と対戦相手同士が決まっていく中、未だ、ヒズミの名前は呼ばれないまま。

漸く、ヒズミ以外の全員の組み合わせを呼び終えたブラッド。


「ヒズミは、少し残っておくように。さて、ヒズミ以外の者はついてこい。模擬戦の会場まで案内する」


転移でヒズミ以外のものを模擬戦会場、学園内敷地にある闘技場に案内する。

不可視魔法ブラインドマジックを闘技場全体に掛けてあるので、他の生徒にバレル心配はない。

ブラッドはクローネを呼んだ。


「クローネ、模擬戦の審判は任せた。模擬戦で勝ち残った一人とはお前が対戦してやれ。手加減一切なしな?俺はヒズミと積もる話があるから戻るぞ?」


こそっとクローネに耳打ちすると、クローネは頷く。

それを確認すると、転移でまたギルドに戻っていくブラッド。

ギルドに戻ってきたブラッドは、視線だけでヒズミを探す。

すると、ヒズミはギルド内にあるソファに座って待っていた。


「待たせて悪かったな、ヒズミ」

「まさか、お前が創帝だとは、な?」

「騙すような真似をして悪かった。さて、合格も俺との約束も守ってくれたし、俺も約束を果たそう」


ヒズミはこくんと頷くと、ブラッドのそばに近寄る。ブラッドはヒズミの肩に手を置くと、転移でギルド内敷地にあるあまり知られていない闘技場まで来た。

此処なら邪魔されずに戦闘が楽しめると考えたからだった。

ブラッドは自身の持つ武器、双剣、紅月神コウヅキシンを時空間から取り出す。

その後、8割強の力を解放させる。

ヒズミもブラッドに促されて自身の武器、身の丈ほどある大剣、白香月ハッコウヅキを取り出す。


「なぁ、創帝。使い魔も召喚させていいか?」


ふと疑問に思ったらしいヒズミは、戦闘が始まる前に聞いてくる。使い魔を召喚されたぐらいで負ける気はしないブラッドは「構わない」と静かに答える。

ヒズミはその言葉を聞くや否や、小さく「アイス」と呟くと銀狼シルバーウルフが飛び出す。

ヒズミはブラッドの力に圧倒されていたが、頭を左右に振ると、神経を集中させる。

ブラッドは黙ったまま、「いくぞ」と呟くとヒズミに攻撃を仕掛ける。


まずは攻撃魔法を仕掛けるブラッド。


「Lv.1 幻獄唄ダークネスホロウ


詠唱破棄の闇魔法を唱える。

ヒズミはそれをなんとかかわすと、少し遅れて攻撃を仕掛ける


「雷の刃となりて貫け…。雷雨弓矢サンダーレインアロー


先ほど、ブラッドが立っていた場所に無数の雷雨と共に弓矢が、床に刺さっていた。

とうの、ブラッドはといえば、紅いローブを羽織りながらゆるやかに避け、ヒズミの真後ろに立っていた。

その一瞬後には、ブラッドは紅月神コウゲツシンでヒズミののど元に刃を当てていた。

言わずとも、ブラッドの勝利。


「…参りました」


そう苦笑して言うと、ブラッドは首筋に当てていた双剣を外した。


「なぁ、ヒズミ、他のみんなの模擬戦見たくないか?」

「あぁ、見たい」


そう言うヒズミ。

その回答を期待していたのか、「じゃ、いくぞ」というと、転移で学園敷地内にある闘技場まで来た。

すると、ちょうどクローネと模擬戦で勝ち残った、ランクSの合格者エリシア・インフェルノがちょうど戦闘しようとしているところだった。


「良い時にきたな…」


ポツリと呟けば、パンパンと手を叩く、ブラッド。


「クローネ、俺が代わろう」


そう言って、クローネと立ち位置を代わるブラッド。

ブラッドは、エリシアの力量を感じ取れば、3割弱の力を解放させる。


「さぁさ、お嬢さん?来ないのならいっちゃいますよ?」


二コリとした笑みを浮かべて即座に攻撃魔法を仕掛けるブラッド。


「煉獄の地獄から蘇りし焔…

 灼熱残響レッドホットインフェルノ


最上級の攻撃魔法を仕掛けるブラッド。

ブラッドにとって3割弱でも、ランクSの者に取ったら、9割強。

そんな攻撃魔法を間一髪のところで除けるエリシア


「私も行かせて頂きます…宵闇」


遅れて、攻撃魔法を仕掛けるエリシア


「地獄より甦りし雷…

 迅雷中枢アトミックヴェロシティ


エリシアも最上級の攻撃魔法を仕掛けるも、威力が足りない。


「…威力が足りませんね。そんなんじゃ私に勝てませんよ?」


そんなことを言いながら、双剣、紅月神コウゲツシンを時空間から取り出す、ブラッド。


「Lv4 光月球シャニングムーン

「Lv5 闇月球ダークムーン


詠唱破棄で光の球と闇の球を出現させるとブラッドはそれを双剣に付与させる。

闇の球は、相手の魔力を吸収し、光の球は吸収した魔力をそのまま魔力吸収した相手にぶつける付与魔法エンカウントマジック


「さぁ、どうしますか、お嬢さん?」


エリシアも自身の武器、自分の身長以上もある鎌、栖残歌スザンカを取り出す。

その鎌を勢いに任せて振るう


「ほう…鎌、ですか…。でも、力任せにいくら振り回したところで私に当たるとでもお思いですか?」


軽くステップを踏みながら簡単に交わしていくブラッド。


「さぁて。そろそろ反撃といたしましょうか」


紅月神を持ち直すと、エリシアの真正面へ突入する。

漆黒の煙を出す双剣で相手の腕を絡み取る。

この漆黒の煙で捕まったら最後…。

抜け出すことは出来ない。


「さぁ、この状態でどう反撃しますか?お嬢さん」


相手が魔力を使えば、その魔力が双剣に送られる。

エリシアは悩む。

その間にブラッドは、召喚魔法を唱える


「時の流れを告げる時空の波よ

 無我の境地に映る幻影が

 時の流れより逆らい

 未来へと変わる

 我は汝を求る者

 我は汝を今此処に呼び起こす

 我の名は紅月の宵闇

 汝より与えられしこの力を持って此処に命ずる

 我に力を授けたまえ…

 汝の名はケルベロス!」


そう小さな声で呟くと、天空からケルベロスが現れる。

ケルベロスはブラッドにとても懐いている。


「さぁ、ケルベロス…お遊びの時間だよ…」


ケルベロスはエリシアに向かって走り出す。


あと一歩でケルベロスがエリシアを噛み千切ろうとした瞬間にブラッドは静止の声を上げる

「ストップ、ケルベロス!」


間一髪で、エリシアは噛まれずに済んだ。

残念そうにブラッドの傍に戻るケルベロス。


「……、ケルベロス召喚とか反則です!!」

「…あぁ。勝てれば何を使用してもかまわないはずだが?使い魔を出しても構わないし、魔力を全部使い切る勢いで最上級魔法を唱えても構わないし。模擬戦とはそういう意味だ。もし、これが本物の戦いだったらお前は既に殺されていたぞ?」


ブラッドはサラリとそういう。

むしろ、ブラッドのほうが正論だった。

エリシアは歯痒い思いで、呟くように「まいりました」と言った。


「じゃあ、ケルベロスを戻そうか…」


ケルベロスは、戻りたくないようだ。

むしろ、使い魔にしてくれと頼んでいるように見えた。


「ごめんな?お前を使い魔にするのは俺は反対だ。それに、だ。お前を待っている奴もいるだろう?」


ケルベロスの頭を撫でると、「また呼んでやるから」と約束する、ブラッド。


「時の流れを告げる時空の波よ

 無我の境地に映る幻影が

 時の流れより逆らい

 未来から過去へと変わった

 我は汝を求めない者成

 我は汝を呼び返す者…

 我の名は紅月の宵闇

 汝より与えられしこの力を持って汝に命ずる

 汝に力を…

 汝の名はケルベロス」


そう呟けば、天空へと昇っていくケルベロス。

ケルベロスが完全に天空へと消えるとブラッドは「またお前が必要な時は呼ぶから、な」と小さく呟いた。

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