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1話

「お~、ここが魔法都市か」


 俺は目の前に広がるヨーロッパ風の街並みを眺める。日本にない街並みにまるで外国に来たような気持になった。


 ここ『魔法都市ウルボラ』は巨大な魔石により大地を丸々空へ浮かべた土地に都市を築いている。大地を丸々浮かべただけあり広大な土地がある都市一つと平原、岩山、森林と多種多様な地形が広がっている。そして、魔法都市というだけあり魔法を扱うことのできる者たち、魔法士の多くがここに住んでいる。


「・・・魔法か」


 今まで空想の産物であると思っていたものが実在しており、さらに自分がその一員になるとは思ってもいなかった。


 それは唐突だった。いつものように目覚め、いつものように学校に行き、いつものように帰宅すると玄関のチャイムが鳴った。出てみるとそこにはスーツを着た役人のような男性がおり俺が魔法士としての力、魔力に目覚めたことを説明された。いきなりそのような説明をされ半信半疑な俺に男性は俺の目の前で魔法を使って見せた。それにより魔法というものが実在するのだと納得した。


 それからとんとん拍子で俺の転校が決まった。なんでも魔力に目覚めた者が魔法の使い方を理解しないでいるとふとした拍子に魔法が暴発してしまうそうだ。なので、早急な対処が必要なのだという。


「さてと、まずは学園に行かないとな」


 真新しい制服のポケットからスマホを取り出し送られてきた地図を見つつ俺がこれから通うことになる学び舎、『王立リベルタス魔法学園』へ歩き出す。


 ***


「・・・迷った」


 歩き出して数十分、意気揚々と歩き出したのはいいのだがいまだ学園に着く様子はない。


 日本では見ることのない風景に目を奪われきょろきょろと見渡しつつ移動していたのがいけなかったのだろう、どこかで曲がる道を間違えたようだ。


「ん~、どうしよう」


 初めての場所なので自分が今どこにいるのかもわからない。


「誰かに道を聞こう・・・っ!?」


 道を聞くため周りを見渡していた俺に一人の少女が目に入った。そして、その少女に目を奪われた。


 俺と同い年くらいのその少女はリベルタス魔法学園の制服を着ており、きりっとした切り目のアイスブルーの瞳に整った顔立ち、そして長い銀髪が風になびき光輝いているようであった。そんな凛とした雰囲気を醸し出すその少女から目を離すことが出来なかった。


「・・・きれいだ」


 そんな言葉が無意識のうちにこぼれ出てしまった。すると、その声が聞こえたのかはたまた見つめられているのに気づいたのか少女がこちらを向いた。そして、彼女のことを見つめていた俺と目が合う。


 彼女は俺と目が合うとぴたりと動きを止めじっとこちらを見つめてきた。そして、少ししてこちらに歩いてきた。若干頬が赤くなっているのは気のせいだろうか。


「私に何か用か?」


 彼女にそう尋ねられはっとする。


「あ、いや、わるい。あんたがきれいだったからつい見惚れちまった」


 俺がそう言うと彼女は少し驚き、そして照れ臭そうに頬を少し赤くした。


「ん、そうか。そう言われると悪い気はしないな」


 俺と彼女の間になんとも気恥ずかしい空気が漂う。


「あ、そうだ」


 この状況を脱するために俺は話題を変えた。


 彼女に見惚れていて肝心の目的を忘れるところだったがせっかく目の前に学園の制服を着た人物がいるので学園までの道を聞こう。


「なあ、リベルタス魔法学園に行くにはどう行けばいいんだ?」


 俺がそう聞くと彼女は不思議そうな顔をした。


「お前学園生なのに学園への行き方が分からないのか?」


「ああ、俺は転入生なんだ」


 転入生であることを言うと彼女は驚いた。


「転入生・・・めずらしいな」


 彼女が驚くのも無理はない。転入手続きの際に聞いたのだが魔法士が学園を移ることは稀であるらしい。だが、俺のよう魔法と全く関わりのなかった人が転入するなど今までになかったことだそうだ。


「それで初めてここに来たんだけど迷ったみたいで」


「なるほど。それでどこへ行きたいだ?」


「ああ、リベルタス魔法学園に行きたいんだけど」


「学園に行きたいのか。なら丁度いい。私も学園に行くところだ」


 そう言う彼女はどこか嬉しそうであった。案内するのが好きなのだろうか?


「まじで、ありがとう。え~と・・・」


 彼女に感謝を伝えようとしたところである事に気づき言葉を詰まらせた。そんな俺に彼女は一瞬不思議そうな顔をしたがすぐに納得したようで口を開いた。


「そういえば名乗っていなかった。私はシルヴィア・ファーリスという」


 そう言って彼女、シルヴィアは手を差し出してきた。


「俺は新藤(しんどう)竜也(りゅうや)、よろしくファーリス」


 差し出された手を握り返す。


「シルヴィアでいい。よろしくリュウヤ」


「じゃあ、シルヴィア。よろしく」


 俺がシルヴィアと呼ぶと嬉しそうに微笑んだ。


 来て早々こんな美人と知り合えるなんてラッキーだな。


「それでは、行くとするか」


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