事情①
とろーり半熟の目玉焼き、一口サイズのサイコロステーキ、りんごでシャキシャキ感を増したサラダ、そして[創造]で創ったトースターで焼いたきつね色のトースト。
そんな完璧な朝ご飯を少女は目を丸くして見ていた。
「えーと……嫌いなものでもあったかな?」
「いや、そんなことはないわ!」
嫌いなものがある訳では無い……。
「じゃあ初めて見る料理なのかな?」
「そうだけどそうじゃないわ…!」
これも違うらしい。
「初めて見る料理に驚きはしたけど、何より貴重な卵を使った料理、綺麗な四角いパン、こんなにも豪華な食事を振る舞うだなんて…。」
なるほど…こちらの世界は現代の料理は珍しいらしい。その証拠に少しずつ味を嚙みしめるように食べている。
さて、食事も終わったことだし本題に入ろう。
「それじゃあ、事情を聞かせてくれないか?君のこともだし、追われていた理由も気になる」
少女は最初に自分のことを話し始めた。
「私は________」
聞くところによると少女の名前はリィ・ローレンと言う名で恐らくは有名な名なのだろう。
なぜなら胸を張りながら「私はリィ・ローレン!ローレン家の長女よ!!」と。僕が「リィ・ローレン、これからはリィちゃんって呼ぶね?」というと目を丸くしていた。
リィは「ローレン家を知らないなんて…」とぼやいていたが僕の耳には届かなかった。
それとリィは外見こそ幼いが17歳らしい、まさかの同い年に近いというね。僕と近い年齢だねというと「なら、ちゃん付けはいらないわ呼び捨てでいいわよ」と。これからはリィと呼ぶことにしよう。
「リィのことは分かった、で、なんで追われてたんだ?」
追われていた理由の方が何倍も気になる。
「それは…」
リィは俯きながらポツリポツリと話し始めた。