亜空間
転生で[いいえ]を選んだ僕。
亜空間放浪中!
俺の名前は夜谷 遥。
学校からの帰り道突っ込んできたトラックに引かれて死んだ。
死んだらそこで終わり。普通はそうだ。しかし、終わりではなかった。
目の前には、
転生しますか?
[はい] [いいえ]
まるでゲームの画面。[はい]を選んで楽しい楽しい異世界ライフを送るはずだった。
でも僕は思ってしまった。こういう系で[いいえ]を選んでるの見たことないな、と。
生前、漫画やアニメが好きだった僕は異世界転生モノが特に大好きだった。
だからこそ転生しなかった。自分の目で王道ではない道を見たかったから。
そんなこんなで現在亜空間を放浪中。
何もない。ずっと一本道。横には木々。
「ああああ!ホンットにミスった!なんであの時転生しなかったんだ!!今ごろ夢の異世界だったのに…」
愚直を言いながら僕は進む。ゴールなんてないのに。
「ってか亜空間って何だよ!何?何かできんの?…あー」
僕は歩いても、歩いても変わらない風景に嫌気がさして手を前に出しありったけの恰好を付けて
「サンダーボルトォォォ!!なんつって。」
と、言った。まさか、その瞬間手から電撃が出るとは思っても見なかった。しかも割と高威力の。
バチチバチバチバルリリリリギュルン!!!!!
開いた口が広がらなかった。…ということは。
「ファイアボール!ブリザード!ウィンドー!」
思った通りそれらは実態となって表れた。
この時だけが自分がオタク気質で良かったと心の底から思った。
木々を吹き飛ばして少しスッキリした。
「うん?これは?」
足元に何かが落ちていた。恐らく先ほど使った魔法?のせいで飛んできたのだろう。
それは本だった。そして表紙に
[大賢者エンド叡智の書]
と書かれていたのだった。