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勘違いで始まった決闘②


国で三本の指に入る魔法戦士ボノム・ローレン。彼が人生で敗北を知ったのは(わず)か1回。その1度の敗北が彼を国の最強と言わない理由でもある。

そんな、彼が今抱いている感情は一言で言うと畏怖。


「歳を少しとったとはいえ、この私の剣撃を受け止めるとは。」

少年の筋肉質ではない腕から出てるとは思えない程の力は、使い方によってはローレンを(しの)ぐものであった。

しかし、少年のそれは力であり技ではない。

本物の剣撃とは力と技を合わせて真価が発揮される。ということは本物の剣撃を知っているボノムの有利。


「決闘系のゲームでは負け無しなんでね」

と、ハルカは左に持った日本刀を眺めながら口角を釣り上げる。

「訳の分からぬことを抜かしおる」

と、ボノムも口角を上げる。


笑った2人はそのまま後ろに下がり距離をとる。

次に倒れているのは果たしてどちらか。


「これは受け止めれんだろう!」

ボノムが開いていた距離を一気に詰めハルカへ木刀を頭上へ振るう。ハルカは木刀を自身の作った日本刀で受け止める。

しかし、ボノムは二刀流。もう一本の木刀がハルカの横腹を直撃し__

氷結盾(アイシクルシールド)!!」

なかった。ハルカは左でボノムの木刀を受け止め右手で魔法を発動させた。氷を厚く壁のようにした氷結の応用技だ。

「くそっ、2本とかせこいだろ‼」

ハルカは悪態をつく。しかし、数秒後にはその口も開かなくなる。

「なかなか、見所がある小僧だ。」

次の瞬間目の前にいたボノムが姿を消し、倒れていたのはハルカだった。

「技さえあれば、と言ったところか」


「勝者‼ボノム・ローレン‼」

メイド長の声で決闘は終わろうとした。が、一声。

「パパ、動かないで。」

リィが一声。

「娘よ‼このような男の___」

ヒュン とボノムの頬を足を腕を氷の棘がかすめた。

「ハルカは強いわよ。」

リィは笑顔でそう言った。



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