お買い物
「あぁ……行っちゃった……。」
「おい、おじさん。置いてくよ?」
生意気な。何が置いてくよ? だ。
「早く街回ろうぜー!」
……まぁ。たまにはいいか。
そしてちびっこはシオンから貰ったお小遣いを既に使い切っていた。
「はー! 楽しかった!」
本当に楽しそうだったな。何かを見つけたと思えば、またなにか見つける。その連続だったからな。
「おじさんは何も買わないの?」
「君におじさんって呼ぶのをやめてもらうのに使おうかな?」
「美味しいもの沢山あったのに……おじさん損してるね。」
呼び方を変える気は無いらしい。
「あ、おねえちゃんにプレゼントしたら?」
「あ? 何でそうなるのさ。」
「だっておじさんおねえちゃんのこと好きなんでしょ?」
普段の行動からバレバレだよ。と、自信ありげに言ってくる。
「プレゼントかぁ……いいかもね。」
「だろ? 俺も一緒に探してやるからさ!」
余計なお世話だと口に出したが、今はこのちびに頼れる気がした。
「おじさん、やけにご機嫌だね。」
「うん。実は前々からシオンになにかあげたいと思ってたんだー!」
でも、受け取ってくれなかったら二度と立ち直れない気もしたから、買わないでいたのだ。
その時悲鳴が聞こえた。
僕はすぐに少年とアイコンタクトをし、走り出した。
シオンが何かやらかしてないことを祈りながら。
通路の角を曲がると、事件現場であろうところが見えた。そこにいるのは、絶叫しながら全力で誤る店番と……頭から血をかぶって真っ赤になっているシオンだった。
「ちょ!? シオン!? なにしてんの!?」
「誤解だ。少年、私は何もしていない。」
「じゃあなんでそんな頭から血なんて被ってるのさぁ!?」
「誤解だと言っているだろう。これはストロベリーチョコを溶かしたものらしい。」
「ストロベリー……チョコ?」
シオンについたストロベリーチョコと思われるものを指ですくって舐める。
「………甘い。」
「だろう?」
と、そこで、置いてきたちびっ子が追いついた。
「おじさん! 何があったの……!? おねえちゃんどうしたの!?」
ちびっこも気づいたらしい。
「ちびっこ。これはストロベリーチョコを溶かしたものものらしい。舐めてみるといい。」
と、シオンが促す。すると、ちびっこがシオンについたストロベリーチョコを舐めだした。……直でだ。
いや、チビだし。悪気はないんだろうが……なんかこう……最初の出会いを考えると、確信犯にしか見えない。
……羨ましい。
「おい少年。置いていくぞ。」
「え!?」
「ここの店が詫びに宿として泊めてくれるらしいぞ。金も払わなくていいそうだ。」
「お金が浮いたのはよかった……うん……」
「なにか不満か?」
「いや……なんでも。」
「少年。ちびに嫉妬なんてするもんじゃないぞ。」
そう言って店に入っていった。
あぁ……いつ渡そう。それ以外考えられなかった。
少年らしさが出てて、個人的に好き