別行動
馬車に揺られてもう二時間は経つだろうか……
ちらっと少年を見ると、真っ青な顔をして、口を抑えていた。
「ねぇシオン? 顔が青いけど大丈夫?」
「少年こそ……死にそうな顔をしているぞ?」
さっきからそんな会話しかしていない。
「私が馬車などで動けなくなるとは……」
「おねえちゃんたち情けないなぁ……」
そんな哀れみの声を上げたのは旅をするために私と少年についてきたちびっこだ。
さっきから常に移り変わる景色を見て楽しんでいる。さすが自分から旅に出たいと言っただけある……
「子どもってのは怖いなぁ……」
まったくだ。心の底から同意しよう。
「もうすぐ着くみたいだよ!楽しみだなぁ……!」
楽しみは楽しみだが、早くこの地獄の時間が終わればいいと、私と少年はずっと考えていた。
「ついたああああ!」
馬車を降りてすぐちびっこは叫んで走り回っていた。
それと反対に少年は、「うっ……。」と悲痛なうめき声をあげて茂みの方にかけて行った。
「おじさん……大丈夫なの?」
「そっとしといてやれ……。」
「おねえちゃんも顔青いけど……?」
「私はこのくらい大丈夫だ……。」
そんな会話を少年が帰ってくるまでしていた。
胃の中のものを大自然にぶちまけた少年が帰ってきたので、いつも通りに情報収集だな。
そして、少年とちびっこに少し多めにこの国での通貨を渡した。
「私はいつも通り情報を集めているから、二人で遊んでくるといい。飽きたら私のところえ帰ってくればいいからな。」
そして、珍しく私と少年が別行動をすることになった。
うん……俺は好き