ちびっことの出会い
私は今ある街の酒場に来ている。何よりも今は情報が足りない。少年の仇を取るにも情報が必要だからな。
「ねーシオンー。何か聞けたー?」
そんなふうに陽気に話しかけてきたのは、
「私のストーカーである少年だ。」
「心の声が漏れてるしストーカーじゃないし。」
「実際勝手についてきているのだからストーカーも同然では?」
「うっ……」
「まぁ、情報を集めるには人手が必要だからな。期待しているぞ、少年。」
なぜか顔を赤くしている少年を放っておいて、情報収集を再開する。
なにかと情報を集めるのが便利なのは酒場だ。一日暇をしている奴から、仕事の癒しを求めて来るやつまで様々だからな。
だが、そこでも大した成果は得られなかった。
「うーん……やはり人探しは難しいな。」
「ねぇおねぇちゃん!」
「どうした? ちびっこ」
話しかけてきたのは見知らぬちびっこだった。
「どんな人を探してるの?」
このちびっこ、私たちの会話を聞いていたのか。まぁ、正直に答えよう。
「あぁ。私が殺すべき━━━」
「このおねぇちゃんはとても大事な人を探しているんだよ!!!」
急に少年が入り込んできた。さすがに驚いて少年を見ていると、
「さすがにこんな小さい子にそんな生々しいこと言っちゃだめだよ……」
と、小声で忠告してきた。
そういうものなのかと思って黙っていると、ちびっこが口を開いた。
「ふーん。そうなんだ。ところでおじさん誰?俺このおねぇちゃんと話してるんだけど。」
「おじさ……ぼ、僕一応このおねぇちゃんと同い年なんだけどなぁ……」
涙を浮かべ、笑いをこらえていたら、
「このおじさんがにらんでくるー! たすけて!」
と、ちびっこがわかりやすく少年を悪者にしていたので、さすがに怒ろうかと思ったら、
「こんの……エロガキが……羨ましいっ!」
と、ずれたことを言い始めたので、怒る気も失せた。
「して、ちびっこよ。話しかけてきたのは理由があるんだろう?」
「あ、うん。俺、旅をしたいんだ! で、人探しを手伝うから、俺も旅に連れてってほしいなって。」
「だめだ。」
即答だった。
「なんでさ!」
「当たり前だろう。すでに少年という足手まといを守るだけでも、少年よりも非力なちびっこを連れていけるわけがないだろう。」
少年が足手まといじゃないやいと叫んでいた気がするが、気のせいだろう。
「まぁ、守るという保証ができないが、勝手についてくるだけなら良しとしよう。」
「ほんと!?」
「まぁ、君な安全は保証できないがな。」
「え!?」
「勝手についてくるのだろう? 私がちびっこの面倒を見る必要が無い。さっきも言ったが、この少年だけで精一杯だからな。」
それでもいいかと、念を押して聞くが、少年からは元気のいい返事が帰ってきた。
どうやら本気で旅に出たいみたいだ。
「ということで、少年。このちびっこを頼んだぞ。」
少年が嫌がっていたが、勝手に私についてくるストーカー同士、仲良くやってほしいものだ。
そうして、私のストーカーにちびっこが加わった。
ちょっとというか、かなり不自然ですが、一応続きです。