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短編小説

死の眠り

作者: 有寄之蟻

冷たい。

冷たい風。

闇が満ちる。

地に落ちる白い光。

重く圧し掛かるように大きな満月も、また、冷たい。

灰色の石の群れ。

黒い煤けた土。

ここは墓場だ。

誰もいない。

忘れ去られた場所。

温度の欠片もない、優しさなど一滴も含まない風が、ただ慰めのように墓石を撫でる。

朽ちた鉄柵。

既に形をなくした墓跡。

その冷たい土の下には、もう何もいないのだろう。

闇夜に沈む墓場に、寄り添うのは無関心な月だけだ。

大きな樹々が落とす影。

あらゆる輪郭を曖昧にし、月光はただ闇を深くする。

嘆きも悲哀も歓喜も激情も、ここにはない。

ただ冷たく、死が眠るのみ。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  風景が想像できるのと、言い回しがなんか良い感じでした。  今にもビュービュー冷たい風が吹いてくるような気がします。 [気になる点]  題名詐欺かなと一瞬思いました。
[良い点] 冷たい、という感覚にこだわりを感じました。 [気になる点] なぜその墓の下には何もいないのかが語られると、より深みが見えるかもしれません。
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