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疑惑

大男は立ち上がり、僕に着いてくる様に示唆した。

正直こいつの事は信用していない。第一首輪もフェイクで、信用させきった後で漬け込まれる可能性もある。

スパイ育成はスパイ自身にスパイと認識させないように育てる場合もある。

暗示や催眠、記憶操作なんかで無意識の行動で情報を明け渡す。

だが僕は違う、僕の記憶は作られたものなんかじゃない。

絶対そうだ、そうにきまってる。


本当は気づいている。記憶操作されている可能性に。

だから認めない。騙された人間は最後まで自分は騙されてなんぞいないんだと。


「おい、どうした大丈夫か?」


大男が尋問室のドアを半開きにさせている。ドアは鉄製で所々錆びも見える。ドアノブ型ではなく引き戸型だった。襲撃に有効な構造だ。


「あの、僕はまだ名前を名乗ってません。」


「そうか、そうだったかな。いや、そんなことより早くここを出よう、あまり時間がないんだ。」


怪しい。


肯定しつつはぐらかすのは隠したいことがある時だけだ。

やはりなにか仕組んでいるんだろうか。

この反応で疑惑は確信に変わった。

こいつは、僕の自由を奪おうとするやつだ。

僕は僕のためだけにある。

たまに自分は他人のためにあるなんて言ってみちゃう集団主義の犬にはこの気持ちはわからないだろうな。

たとえ僕自信の気持ちが作られた物であってもそれは僕の気持ちに違いない。


大男は急ぐように示唆してくる。

ここは一旦信用させた振りをして頃合いを見計らって逃げよう。それがいい。そうしよう。

それしかない。

大男は鉄製の廊下をカツカツと闊歩する。

錆びだらけの牢獄で何をそんなに自信たっぷりなんだこいつは。

こいつが僕を嵌めようとしているのにもだんだん苛ついてくる。

やるんならもっといい方法があるだろうが、手間もコストもかからないもっといい手段が!!!


くそっ、間抜けが。僕が間者(スパイ)だったら隠していたナイフで首筋を突き刺しグリグリとナイフを回して致命傷を作ったのちに事前に用意しておいた牢獄の地図を使って脱出するのに。


だが僕は一般人。殺しもスパイもやらない。

だが自己的なんで逃げはする。


「あのぉ、トイレはありますか?出来れば個室でしたいんですけど……」


「ああ、うん。そうか。なら、行くがいい。そこがトイレだ。手短に。済ませたまえよ。一刻も、はやく。はやく。」


なんだこいつ……単語が途切れ途切れで聞き取りづらい上にこっちを見ない。

最初はこんな印象受けなかったんだけど………どうしたんだろう。


「……あ、じゃあ済ませますね。」


僕は足早にトイレに向かった。

逃げる算段はついている。早いところ行こう……。

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