尋問
僕は夢を見る。
努力をしなくても最強の能力や魔法、恋人や友人だって、夢のなかじゃ思い通り。
ーーーーーー逃避。
そんなことは解っている。
実際の僕は、努力も、才能もなにも無いから今こんな逃避をしているんだってことも。十分に解っているんだ。
でも、いいだろう?夢を見るくらい。
僕の理想を壊さないでくれ。
理想の僕を消さないでくれ。
体が重い。最悪の寝起きをした気分だ。
うなだれていた頭を上げる。
僕は椅子に座っている。手首は、椅子の足に手錠で繋がれていた。
「………なんだ、なんなんだ」
消えていた灯りが着く、僕は目の前に大男が居るのを認識した。
「気がついたな。ならばよし。」
「これより尋問を始める。対象、不法入国者。」
「正直者の首輪をここに。」
大男のすぐとなりのひょろっとした黒い制服を着た男が立ち上がり、僕に首輪を着ける。
「対象者はYESかNOかだけ答えよ。それ以外の言葉、または嘘を言った場合自動的に首輪がお前の思考の濁りを読み取って懲罰を与える。」
「……し、質問をッ!!!」
脳に衝撃、手と足の指先に剣山で刺された如く痛み。肺が締め付けられるような苦しみ。
どうやら有無を言わさない方針らしい。
拷問はジュネーブ条約によって禁止されているのに。
痛みを伴う尋問なぞ拷問に過ぎない。
「対象。貴様は我ら帝国に仇なす者か。」
なに?なんだ?スパイ容疑でもかけられてるのか?たまったもんじゃない。僕は無実だ。
ここは全て本当のことを言おう。この首輪も怖いし。
「………NO」
大男は僕を睨み付けてくる。嘘を言っていないか疑われている目だ。
「次ィ!!貴様の祖国は何処だ!!!二十文字以内で答えよ!」
「……日本」
大男は僕を疑う。
「ニホンなどと言う国名は存在しない……。」
なに?存在しない?可笑しい。
不安が僕に襲いかかる。
ここはもしや地球じゃないのか………?
そんな馬鹿なことがあってたまるか。第一判断材料がこの大男しかない。
こいつが知らないだけだ!!!そうにきまってる!!!
「だが……」
「……首輪は正しい、俺の考えよりも。」
「ならば信じよう。首輪が正しいとしたお前を。」
「対象。どういうわけだか知らんがお前は存在しない国から来たようだな。経緯を二千文字以内で説明してもらおう」
僕は思い出した。精神世界であったことを。
もしかしたら。本当に来てしまったのだろうか。
それとも、産まれた?ここに?
払拭しきれない疑問を抱えつつ、僕はいつもはあまり使わない口をよく使い大男に説明した。
「…………にわかには信じられん話だな。例え首輪が正しくともそう突飛な事を言われてしまうとどうも信じられん。」
「だが信じよう!ここでは正直者の首輪が絶対のルールだ。」
「貴様、祖国に帰れないのは苦しかろう。
その気持ちはよく分かる。故に!!!お前にこの国への入国を許可する。」
「え……でも………牢獄の尋問官がそんな権利持ってる筈は…………」
「知っているか、小僧。一級尋問官にはやむを得ない場合少尉クラスの権限が与えられる。
その権限の中に特別入国許可というものがある。
それを行使する。異論はあるか?」
確かに願ったりかなったりだ。
僕は即OKした。
外の世界を見れば全て分かる。
こいつが嘘をついて役に酔って僕を巻き込んだ狂人なのかもしれないってことを。
首輪の仕組みもよくわからんが、どうせあれもフェイクだ。
不安が不安を呼び僕は、ついに人を疑って見下す精神安定のやり方を無意識にしてしまっていた。
こんな自分にヘドが出るのだ。毎度毎度。
考えは後。今は牢獄を出よう。(もしくは牢獄と大男が思っているだけの小部屋からね。)
もう疲れてきました。
序盤がgdgd過ぎてやってられないです。
書くのやめようかな。