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妄想の枝

ーーーーーー恐怖。


瞼が固まって動かない。四肢の筋肉に反応もなく、指一本すら動けない。


僕は瞼の裏だけを見る人形と化したのだ。


今度は音を聞こうと試みる。


無音。


こんなに順序立てて五感を確認する必要はない。


人間が世界を認識する方法は視覚が大体を占めていて、その不安を払拭しようと順序立てて確認する。


そう、僕は怖いのだ。ハッキリ言ってビビっていた。世界を確認出来ないのは、自分を確認出来ないのと同じだからだ。


そんな恐怖を払おうと一生懸命感覚を感じようとするが、世界は僕の呼び掛けには答えない。


………不安で不安で気が狂いそうだった。


その内に状況を理解しようとない頭で考え出したのだ。


誘拐、監禁、事件に巻き込まれた可能性。


………無いとは言い切れないが、まず可能性は低いだろう。誘拐事件ならある程度正気を保たせて希望を失わせないのが定石だと犯罪真理書で読んだ。


ーーーーーーーー聴覚、触覚、視覚、嗅覚、味覚。


これ等が、最初から無かったかのように何も感じない。


最初から無かったと本気で錯覚してしまいそうで。


怖い、何てものじゃあない。


無。


僕が認識出来ないだけで、大学病院かなにかで太いチューブに繋がれた肉体が転がっているのかな。


それとも本当に死んだのかな。


僕は、死を見たことはあるが、死を感じたことは無かった。特別じゃない事、生きている間は死を概念的にしか捉えられないのだ。


感覚が有るのを生としたら。これは紛れもなく死である事が確認できる。




僕は。ここで死んだのだ。


誰にも解らない孤独感が胸で塗り潰されて狂ってしまう。


一人とは。つまり狂気なのだ。


僕の精神は、脆い崖の様に崩れ落ちた。

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