現実の樹
僕は夢が好きだ。
退屈な現実を見なくていいから。
僕は一時的な逃避に酔う。
自分自身を直視しないですむ。
科学者は脳の休息の副産物だと言う。
社会人は明日の為に寝るのだ、と言う。
違う違う、まるで解ってない。これは下らない現実から精神を守るためなんだ。
……こんな自己肯定を半ば強引に思考している僕は、なんて下らないんだろう。
自己嫌悪は思考を巡る。
考えたくない……
僕はすっかり落ちきった心を引きずりながら、階段を一歩づつ降りた。
時間は午前2時、静まり返った廊下をトボトボ歩いてリビングに着いた。
酷く気分が悪い……。何か飲み物でも飲もう。そう思って冷蔵庫を開けるが、其処には僕の期待した物は無かった。
「……………」
苛立つ心を抑えてコンビニに向かう算段を調える。
ギィ…と玄関の扉を開け、深夜徘徊へ身を投げる。
僕は学生だ。当然、深夜徘徊は校則違反。
ルールに自由を縛られるのは苦しい
植え付けられた感情、感情で縛られる自由に意味なんてない。
また、ただの屁理屈を並べる。
……だから現実は嫌いだ。考える必要が無いのはわかっているのに、考えを止められない。そしてまた自己嫌悪する。
下らないことを考えていたら、いつの間にかコンビニに着いていた。
僕はあまりコンビニは好きではない。まず商品が高い。それから、街灯に群がる蛾のような素行不良者が群を成している様は気分が悪くなる。
以上の理由で僕はコンビニが嫌いだ。
……下らない。僕はミルクティーを取ろうと手を伸ばす。
「………」
気づいてしまった。その商品に。
明らかにコンビニにそぐわないその商品は、半額ワゴンに鎮座していた。
何故か、それに惹かれる。
僕が買うために待っていた物質。
そんな気がする。いや、そう言っている。
誰が?
誰だろう、僕じゃない。僕はそんな事言わない。
僕はそれをいつの間にか手に握りしめていた。
足りないピースが埋まった感覚がした。
あれ……僕は確か買い物に来た筈なのに。
もう必要な物は揃った。後は跳ぶだけだ。
なぜ……僕はミルクティーを買うんだ。
今なら跳べる。僕は跳ぶ。
何を考えてる。これじゃあ僕の思考がメルヘン女子じゃないか。
やめろ……。
跳ぶ。
やめろ……。
跳ぼう。
やめろ………っ!!!!!!
跳ぶんだああ!!!!!!!!!
意識がプツンと、切れる音がした。
小説は初めて書きます。
拙いところが多々あると思います。
それでも此処まで読んでいただき有難うございます。
頑張って更新していくのでよろしくお願いします。