表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
趣味の本棚  作者: グース
1/4

夜叉

蔵の小窓から差し込む細い朝日に目をさますと、また僕の孤独な1日が始まる。


僕には父も母も兄も双子の弟もいるが、

彼らは母屋の屋敷に住み、僕は離れの蔵に幽閉されている。



いつからだったか…

僕が手を触れると、触れたものの感情を感じ取れることに気がついたのは…

始めはごまかせていたが、その不思議な力を隠すには僕は幼さなすぎた。


その力が屋敷中に知れ渡る頃、屋敷の皆は化け物を見るような目で僕を遠ざけ、

母すらも僕に触れないように振る舞った。


そんなある日、

寝ている僕を布団にくるみ、蔵へ投げ入れた。

僕は何度も謝り、出してくれと懇願したが、

それから今まで10年間、小窓からしか朝日を拝んでいない。



ナツ

10歳まではそう呼ばれていた。

しかしあの日から僕をそう呼ぶ者はいなくなった。


夜叉

今は陰でそう呼ばれているらしい。



双子は菩薩と夜叉の生まれ変わりで、

先に生まれた方はもう一方を押しのけて生まれる“夜叉”

後に生まれた方はもう一方は“菩薩”

なのだという。


しかし僕は見てしまった。

布団にくるまれ抵抗する僕を見て、薄ら笑う弟の顔を…


果たして夜叉は本当に僕の方なのだろうか。


読んでいただきありがとうございます!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ