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盗賊討伐依頼2

side見張りのラッツェ


お頭の話によると今日の襲撃が成功したら場所を変えて暫く大人しくするらしい、つまりは今日を乗り越えたら暫く遊んで暮らせるということだ


『おい、ラッツェ聞いてるのか?明日から休暇だが気を抜くなよ?』

『わかってるぜジェフ、この前あの《夜鷹》が潰れたばかりなんだし気なんて抜けねぇよ』

ラッツェとは幼なじみの間柄で共に食い扶持を探し農村から出てきた、危ない仕事だが食べるには困らないしお頭も頼れる人だから今の生活には満足している


改めて気を引き締めると目の前の草陰からガサガサと音が鳴った

『そこにいるのは誰だ!?』

一気に場に緊張感が走る、抜刀しいつでも戦えるように準備をした、すると草陰から人が出てきた


『こんにちは〜ハグレの盗賊です〜』

美しい女だった

男として生まれたからには一度は抱いてみたい、そう思わせる魔性の魅力をその女は持っていた


『止まれ!手を頭の後ろに回すんだ!』

しかしだからと言って仕事を疎かにする訳にはいかない、一見武器は持っていないが万が一がある


『あはは!私は素手ですよ?それよりこれ知ってます?』

女は警告を無視し何かのメダルを見せてきた…何処かで見たような?


『巫山戯るんじゃねぇ!早く手を…』

『ジェフ!ストップだ!!こいつ…いやこの人は《夜鷹》のメンバーかも知れない!』

『はあっ!?潰れた筈だろ!?』


月に獲物を咥えた鷹のマーク、これは夜鷹の印なのだ

『おおっ、知ってたの?なら話が早いね、貴方達のボスに会わせて欲しいの』

『…何故だ?』

『知ってるかもだけど《夜鷹》は兵団に潰されちゃったからね、だから貴方達の団に入りたいの』


成る程、生き残りか…なら頭に話を通した方が良いだろう、というかここで突っぱねたら後で俺が怒られる

『分かった、丁度俺が交代だからボスの所まで案内しよう。だが武器は出すなよ?』

『ふふ、話が分かるね!じゃあお願いしようかな?』

笑う女の顔は思わず目を逸らしてしまうほど妖艶なものだった、最近女を抱いてないから勘弁して欲しい



『にしても女なのに良く逃げられたな?殆どのメンバーが討伐されたと聞いたんだが?』

『うん、でも幹部級は多分全員逃げれたんじゃないかなぁ?』

『…もしかして幹部の方でしたか?』

『実はそうなのです、ビックリしました?』

悪戯が成功した子供のようにこちらを見て笑う、とても可愛らしいが今はそれどころではない


盗賊団《夜鷹》の幹部

それは俺たち下っ端の盗賊が束になっても敵うことはない化け物みたいな連中なのだ


『…これはとんだご無礼を』

『ふふっ、全然気にしてないよ〜』

気まぐれで殺されてはかなわない、可能な限り下手に出ようと考えを改める。卑屈だって?命が掛かっているのに贅沢はいってられない


そうこうしていると頭がいる場所に着く

『お頭、入団希望の方です』

『こんにちは、アリゼと申します。前までは盗賊団《夜鷹》に所属していました』

そう言いながらメダルを周りに見せる、お頭の取り巻きから感嘆の声が漏れる。やはり有名なんだろう


『頭のゴルゾフだ、メダルを持ってるのは結構だが嬢ちゃんが盗賊だという事を他にも証明出来るか?』

ギンっと目力を込めアリゼさんを睨む、流石の眼力だ


『というと?』

『メダルは《夜鷹》の下っ端も持っていたからな、嬢ちゃんが街のスパイという事も十分考えられる』

お頭がそう言うと周囲に剣呑な雰囲気が立ち込める、確かにそうだ下っ端が持っていたメダルを街の連中が使っていることも有り得る


『ならこういうのはどうですか?』

そう言いながら手を掲げる、するとその手を毒々しい色の液体が覆った。かなり禍々しいな


『…成る程な、確かに毒魔法を使える奴が街の連中な訳ないわな』

『分かってくれて何よりです』

『なら問題ないな、嬢ちゃんの入団を認めるぜ』

そう言うと場の緊張が一気に解けた、どうやら無事に入団できたようだ


『ではこれからよろしくお願いします!』


^^^^^^^^^^^^


『この剣は何十という人の血を吸ってきたんだぜ?』

『えぇ!?そうなんですか!随分お強いんですねぇ』

『俺も負けてないぜ?この傷の数を見ろよ?』

『凄いですね!私強い人が好きなんです!』


今、アリゼさんの周りには自分の武勇伝を聞かせようと沢山の人が集まっている。そしてお前の傷は防御が下手なだけだろう…

だが流石に《夜鷹》に所属していたアリゼさんに手を出す命知らずはいないようだ、今の所誰もお触りをしていない。お触りして手が飛びましたでは笑えないからだろう


そしてアリゼさんがお土産と称してお頭に渡したマジックウェポンの数々はどれも見たことがなかったが、ウチの魔法使いによると全部で4000万ゼニーは下らないらしい

これにはお頭も驚き、何度も『良いのか?』と聞いていたが団の強化に使って欲しいというアリゼさんの主張に甘んじ取り敢えずは宝物庫に保管することになった


『にしてもこの洞窟えらく湿度が高いですねぇ…』

アリゼさんがパタパタと胸元に空気を送り込む、その姿を見て周囲からゴクリと唾を飲む音が響いた


少し上気した頬も相まりかなりのエロさを周囲に振り撒く、正直さっきから下半身が痛い

『嬢ちゃん、悪いが相手して貰おうかなぁ?』


我慢出来なくなったのかお頭がそう言う、そして周りの連中もお零れに預かれるかも知れないと色めき立った


それを聞いたアリゼさんがお頭に近づき

『今夜は期待して…いいですよ?』

瞳を濡らし耳元でそう囁き、体をお頭に預けた


お頭も猫のように擦り寄るアリゼさんに満足したのか満足そうに頭を撫でている

『それは楽しみだな、今夜は寝かさないぜ?』

『ふふっ、精一杯ご奉仕させて頂きます』


一体この人はどれだけ俺の下半身を虐めたら気が済むのだろうか、周りの連中も苦しそうにしている

『他の方々もまた一緒にやりましょうね?』

歓声が上がり周囲のボルデージが一気に上昇する、何てこった俺も是非ご相伴に預かりたいものだ


来る聖戦に期待を膨らませていると入り口から仲間が必死の形相で走ってくる、何だ何だ?


『お、お頭っ!冒険者の襲撃です!』

場のピンクのオーラが弾け、皆が一気に苛立たげな表情を浮かべる。


『ちっ、敵の強さは?』

『Cランクの相当の四人組です!』

『聞いたな!?これは勝てる戦いだ!落ち着いて連携を崩さず戦えば恐るるに足らん!』


お頭の声を合図に全員抜刀する、そして遂に四人組が姿を現す。女もいるしできたら生け捕りにしたい所だ

『アリゼ!早く武器を持つんだ!』

『はい!結構面白かったです!有難うございました!


アリゼさんが謎の返答をした瞬間、アリゼさんはお頭の左胸を貫いた

『は?』

そう思ったのも束の間アリゼさんの美しい白魚のような手が俺の喉を抉り取っていった



^^^^^^^^^^^^

sideアリゼ


『アリゼさん!変な事されてないですか!?』

フランクさんが盾で相手を弾き飛ばしながら心配してくる、力強いシールドバッシュだ。


『問題ないですよっ!』

剣の突きを軽く屈んで躱し、そのまま胴回し回転蹴りを顔面にぶち込む。うん、クリーンヒットだ!


『本当に良かったです!』

エミィはパーティに《プロテクション》を掛けて防御を強化する、みんなの体を白い膜が包む


『『全く無茶するぜ(わね)!』』

リゼとケイトさんが息ぴったりに援護射撃をする、何だかんだで仲良い二人だ


『こんのっ裏切り者がぁ!』

おっと見張りの…ジェフ君だっけ?交代してたのね


渾身の袈裟斬りであろう一振りを左手で受け流し右手で武器を地面に叩き落す

『ぐっ!クソがっぁ!?』

短剣を抜こうとしていたが、そんな事をさせる前に腹を突き刺す。やっぱり遅すぎるなぁ


私の奇襲が功を奏でたのか組織立った動きもできずに盗賊団は殲滅する事ができた、最初にトップを潰したのも大きかっただろう

『くーっ!お疲れ!真正面からぶつかったら危ない数だったわね!』

『ですねぇ、アリゼさんのお陰です』

ふふふ、良い良い。私にも目的が有ったからね


『んじゃ、お楽しみの宝探しをしますかっ!』

ケイトさんの声を合図に戦利品漁りを始めた、皆で売れそうな物を漁る、すると程なくしてフランクさんが宝物庫を見つけた


『おーい!皆ちょっと来てくれ!』

皆が宝物庫に集まり中身を改める


『これは凄いですよぉ!多分全部で6000万ゼニーには下らないです!!』

『『『ええっ!?』』』

わざわざ盗賊団に潜入したのはこれが目的だ、アイテム袋に入っている使えない大量のお金やマジックアイテムをここに保管してもらい使えるお金にするのだ


『えらくお金持ちの商隊を襲ったのねぇ。此処まで盗賊団が溜め込むなんて凄く珍しいわ』

『えへっ、えへへっ…新作のケーキが沢山…!』

エミィがお菓子の世界に飛び立ってしまった、フランクさんとケイトさんは金額の大きさにフリーズしている


『とりあえず今はこの事は置いといて隅々まで探索するわよっ!』

リゼが皆に喝を入れる、案外肝が据わっているものだ


^^^^^^^^^^^^



今回は大当たりの依頼だった、依頼料+剥ぎ取り+お宝で一人1300万ゼニーにほど稼げたのだ、これはCランクパーティ約8ヶ月分の月収で《黎明の苗》は暫くは休暇と調整でお休みする事になった


エミィとリゼはお菓子の国へ、フランクさんは武器防具巡り、ケイトさんは里帰りするらしい。ケイトさんは意外にも孝行息子らしいのだ


私も若干小躍りしながら不動産屋を覗きに大通りを歩いた、これで一つ目標達成だ!





《プロテクション》物理的な攻撃を軽減するバリア

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