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鉱物の森3

sideリゼ


蜘蛛狙撃事件から2日が立った、この2日間は時たま遭遇する猿型や熊型の金属の魔物を狩りながらも彼等の生活範囲を調べるために、ひたすら足を動かし続けた2日間だった


今のところ3パーティの消耗は少ない、戦闘による軽度の負傷はあったが回復魔法やポーションもあるので特に問題なく依頼は続けられている、夜も暖かく過ごしやすかったので疲れもそれ程ないだろう


そして足跡や喰われた木々を元に遂に彼等の住処と生活範囲と思わしき所を割り出した、彼等は住処を中心に約半径5kmを餌場しているようだ。


しかしこの結果に私達は顔を暗くした、これは明らかに異常な結果だったからだ

『…本当に住処はここ一つだけなの?見落としはない?』

『間違いないと思うわ、どのパーティの斥候係も同じ結論に達してるし彼等の生活範囲以外の木は一切荒らされていないからね』


アリゼの報告に頭が痛くなる、ここまで広い森で住処が一個というのも可笑しな話だがまだ分かる方だ、強力な群れの種族のリーダーがいる場合は周辺の同種を取り込み一つの場所に固まるという例もある


しかし、今回は猿型や熊型、そしてアリゼが見たという蜘蛛型という明らかに種族が違う魔物を複数発見しているのだ。それなのに住処が一つしか見つからないという事は、彼等がお互いに仲間と認め合い共存していることに他ならない


そしてそれがあり得る状況、それは魔物調教師の人間が魔物を支配している状況以外にないのだ


『アリゼ、貴方はこの住処に何匹敵がいると思う?率直に述べてちょうだい』

『通常ならば金属の魔物は住処一つにつき10匹程度の群れが存在するけど、彼等が共存している事を考えると多めに見て30匹はいるわね。その数ならこの半径5kmっていう広すぎる生活範囲も納得できるわ』

30匹…仮に統制がとれている群れならば強襲をかけて倒せる数ではない、しかも今回はおそらく敵に人間の魔物調教師がいるから統制は確実に取れている筈だ、でなければ共存の説明がつかない


『しかも住処と思わしき中心地点が明らかにヤバいところよね…?』

『…だね、中心地点は責任者の地図によると黒金の木が数十本あるし、まず間違いなくこの木が目当てで此処を拠点にしたんでしょうね』


最悪だ、鉱物を食べる魔物は食べた鉱物によって体質を変化させる。食べたのが黒金となれば相当強力な魔物になるだろう、狩りの計画立案は門外漢のため先程から無言を貫いているエミィも状況は理解しているらしく深刻そうな顔をしていた


ここら辺が潮時…か。私達が今できる限界を感じた私はアリゼに話を切り出した、アリゼも真剣な表情で此方を見つめる

『もうこの依頼は私達3パーティの手に負える物ではないわ、兵団の援軍を要請するべきね?』

『私もそう思う、そして呼ぶなら今すぐをオススメするわ』


これが唯の手に負えない討伐依頼ならそこまで急いで援軍を呼ぶ必要はない、討伐対象のテリトリーに入らなければ安全だからだ、しかし今回は相手の頭に人間がいる可能性が高いため、いつ相手が動き出してもおかしくないのだ


『…他のパーティのリーダーと援軍の件について話し合ってくるわ』

この話は早くつけたほうが良い、そう思った私はテントから出ようとしたが、外が俄かに騒がしくなり私達のテントの中に一人の男が転がりこんできた


『敵襲なの!?数と種族を教えて頂戴!』

『数は推定30!種族は猿.熊.蜘蛛に黒いドラゴンと人間だ!!こっちに向かってきている!直ぐに戦闘が始まるぞ!!』

『何ですって!?』

撤退戦、その言葉が私の頭をよぎる。兎に角はやく位置について態勢を作らなければたちどころに蹂躙されてしまう!!


『アリゼ!エミィ!出るわよっ!!』

私はテントを飛び出し走りながら敵を探した、今は夜だが月が明るい為視界は良好だ、素早く敵の集団をしっかりと目視する事に成功した


敵はかたまりながら突撃し、まるで銀の波が迫ってくるようだ、そしてその後ろを異質な黒い塊が悠々と歩いてきていた

黒いドラゴンだ、そのドラゴンは月明かりを反射し黒い金属光沢を放っている。その圧倒的なまでの存在感に思わず息を飲んでしまったが、すぐに頭を振り思考を切り替える


接敵まであと数十秒、私は頭をフル回転させながら走り出した。迷っていては死ぬ、間違いなく死ぬ。私はそう確信するのだった

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