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噂話

森から一週間ぶりに街に戻った日は流石に私も疲れて、帰ってくるなりセリアと一緒にベットに倒れこみ殆ど一日中寝てしまった。

もうそろそろ《黎明の苗》も活動を再開するから装備の点検をしたいところだ、でも何時迄も《黎明の苗》にお世話になる訳にもいかないし、また今度リザと話し合おうかな?


『セリア〜今日は武器屋とか道具屋を回るから準備しといてね〜!』

『珍しく普通じゃの?了解したのじゃ!』

うーん、私が冒険に行ってる間セリアはどうしよう?一人にしておくと絶対に面倒事に巻き込まれるだろうしね、やっぱり抜けてセリアと冒険した方が良いかな?


何となく私は、旅行前にペットの安心できる預かり先を探す家族の気持ちがわかったような気がした。可愛いペットだったら大切にしたいもんね


^^^^^^^^^^^^


というわけで武具屋にきました、店内には数々の武器や防具が所狭しと並んでいる、珍しいマジックアイテムもあるしゆっくり見ていこうか。にしても武具屋の親父さんのガタイが凄い、山のようだ。


『妾の武具も買っていいのかの?』

『好きなのを買っていいよ?ただし高すぎるのは無しね』


奥に大切そうに置かれている【黒金糸シリーズ】なんて一式全部買ったら3000万ゼニーする、それは"3アリゼさんの家"に匹敵するお値段なのだ

性能としては軽くて斬撃と刺突に強く、炎と魔法に対して一定の耐性を持っている高性能な防具なのだ、そして黒金"糸"という名前にある通り行動を阻害しない糸のような金属で作られているため私と相性バッチリだ、お金が貯まったらいつか買いたいものね


『ご主人、妾はこれにするのじゃ!』

セリアが選んだのは鉄製の中装鎧と剣と盾だった、お前はモブの兵士か!?


『セリア!貴方吸血鬼でしょう!大鎌とかもっと禍々しい物を使ってみなさいよ!?』

『あんな複雑なの使える訳ないじゃろう!?あと大鎌は武器じゃなくて農具じゃ!』

『夜はダメ、武具も普通で飲むのは緑茶、そして趣味は釣りとかそんな吸血鬼聞いたことがないわよ!?』

『わわわ私は血液大好きだし!ちゃんと吸血鬼してるし!』

『セリア!?口調が崩れてもはや吸血鬼らしさが欠片も残ってないよ!?』


何てことだこのままではセリアが普通に超絶可愛いだけの町娘になってしまう。それもいいけど、もう少し頑張って欲しいものだ。

『とにかく武具はこれでいくのじゃ!シンプルイズベストなのじゃ!』

『でも鉄製でいいの?ミスリルとかは無理だけどラテライト製とかオススメよ?』

『妾はご主人みたいな武人ではない、まだ鉄製で十分じゃろう』


こういうところは遠慮するんだね?まあ本人がそう言うならいいかな、ちなみにラテライト鉱石は衝撃に強い鉱石で私の関節や脛を守るプロテクターにも使われている。


『じゃあこれ全部買います』

『あいよ!締めて全部で40万ゼニーだ』

『…少し高くないかな?』

『今、この街の近くの鉱物の森で強い魔物が出没しているらしくて十分な量の鉄が回ってこないんだよ』

『うーん、なら仕方ないですね…』

『悪いね、毎度あり!』


鉱石を取る方法は三つある、鉱山を掘る方法、自分で鉱物を生成し体に纏うタイプの魔物を狩る方法、最後は鉄木や黒金木などの鉱物が主成分の木を切って取る方法だ。にしても魔物が住み着くとは、鉱物が好きな魔物なのだろうか?だとしたら相当硬そうだ


色々考えているとセリアが買った武具を早速装備していた、サイズ調整の魔法も問題なく作動したようで小さなセリアにピッタリとフィットしていた

『いいのう!強くなった気がするのじゃ!』

『中々似合ってるじゃない?でも装備に頼ったらダメだよ、訓練を大切にね?』

『…善処するのじゃ』

セリアは何だかんだ言いながら私の言った訓練は全てやっているし、模擬戦の動きを見るに筋も悪くない、この調子で頑張ったらかなりいい線行くだろうし。武具一式買った価値はあるはずだ


私はセリアの今後に期待を膨らませながら武具屋を後にした、本当に楽しみだな


^^^^^^^^^^^^


道具屋に移動した私は消耗品を補充する、買うものは多くないし買い物はすぐに終わった、しかしえらく人が多いね?

『それだけでいいのかの、些か少ない気がするのじゃが?』

『ポーションとかは材料があったら自分で作れるし、私には武器の手入れの道具は必要ないからね』

ポーションは魔力を含むものなら何でも材料にできる、市場の低級ポーションは薬草が材料である事が多いけど中上級ポーションともなると霊草やモンスターの血液などが材料になる。

そして私も一本だけ持っているが、最高級ポーションともなるとドラゴンの血液が材料となる、一本100万ゼニーで身体欠損も立ち所に治るという秘薬だ。上級冒険者ならパーティで必ず一本以上は持っているプロ御用達の凄い薬なのだ


『ポーションも作れるんじゃな…もう薬屋でも開いたらどうじゃ?』

『ふふっ、それもいいかもね?』

薬屋というのも悪くないね、色々悪さができそうじゃないか!


…にしても本当に人が多い、何かあったんだろうか?丁度知った顔の冒険者が居たので話しかけて聞いてみることにした

『ねぇ?ちょっといいかな?』

『ん?誰だ…!? ア、アリゼさん!?どうされましたか!?』

『あははっ!驚きすぎだよ!いやかなり人が多いから緊急の依頼でも入ったのかなって思ったのよ?』

『ああ、そうなんですよ!聞いたかもしれませんが、アーカムの近くのデカい鉄木の森に魔物が住み着いたじゃないですか?それで近場であるアーカムのギルドのCランク以上のパーティ3組に国から緊急依頼が出たんです』

『へぇ〜それは儲かりそうな話ですねぇ』

『そうなんですよ!討伐に成功したら成功報酬と剥ぎ取りで1パーティ3000万ゼニーは固いですよ!』

『国も結構出すね、よほど鉄の流通が滞っているのかな?あ、情報ありがとうね!』

『いえ!これからも遠慮なく聞いてくれると嬉しいです!』


お礼を言い道具屋を後にする

『で、ご主人はその依頼どうなんじゃ?』

『嫌よ、やりたくない。そもそも受ける依頼は私じゃなくてリゼが決めるしね』

『成る程なのじゃ、しかし嫌とはどういうことじゃ?』

『私は今にも自殺しそうな人とバカみたいに硬いモンスターとは戦いたくないのよ

前者はやる気が出ないからです、後者は私が太刀打ちできないからです』



素手は所詮素手だ対人では通用するが、剣の一撃と素手の一撃なら当たり前のように剣の方が強いに決まっている。

『さあっ、もうお昼だしそんな話は置いといて何処かの店に入りましょうか!』

『なのじゃ!』

そして早く家に帰って昨日捕まえた生きの良い玩具で遊びたいのだ、昨日の晩からずっと爪先立ちになっているからそろそろ限界かな?もしかしたら爪先立ちを止めて首を吊っているかもしれないね、ふふっ


やっぱり家に地下室があるって幸せだなぁ〜


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