表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/25

第3章 「マレル旧運河」 (7)

 月明かりだけが差し込む牢の壁に、ゆらりと影が揺れる。


 ユンガーは閉じていた瞳を上げ、見開いた。


「――ああ、来てくれたのか」


 きりきりと歯車の回る音が、石の壁に微かに跳ね返る。


 白い手がユンガーの首に伸びた。

 人形の無機質な瞳は、ユンガーの姿をただ映している。


 永遠に感情を映す事の無い、硝子玉の瞳。


「――あの時私も、君と一緒に行くべきだったのか……」


 人形は答えない。


 これまで、本当には一度たりとも、ユンガーの言葉に答えた事は無かった。


「行こう――」


 人形の腕に力が篭ったのは、一瞬だけだ。


 ユンガーは呻き声すら上げず、糸の切れた人形のように倒れた。

 人形はユンガーの傍に座ると、彼の身体の上に覆いかぶさった。



 そして、全く動かなくなった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ