表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

癖者

作者: 古一尚次

誰しも人には言いにくい癖を持っていると思う。

例えば人の目が見られないとか、すぐ関節を鳴らすとか。それくらいならまだ可愛い。

私はすぐに死にたがること。なにかしらあると死んでしまいたくなる。どんなに些細なことでも。

今日はいつも通りとはいかず最悪な1日だった。何故なら全校生徒の前で不覚にも表彰されてしまった。それはあまり大したものではなかったけど目立ちたくない私にとってはとても嫌なものとなった。

体育館のステージを降りて自分の場所に戻るとき、同学年の男子と目が合い、口パクで「おめでとう」と笑顔で言われた。いつもならそのままスルーしていく筈なのにその時は何故か微笑みと会釈で返した。その男子はとても驚いた顔をしていたことで我にかえりそそくさと逃げるように戻った。

席についても自惚れた恥ずかしさから俯いたままで、集会が終わっても心臓は煩く耳に響き鬱陶しかった。

心臓の音の原因がわからない。

集会が終わり教室に戻ると、私の席には既に先客がいた。机の上に座り何人かで話している。それを見て入口で立ち尽くしてしまい、その後すぐ踵を返し担任が来るギリギリまで廊下を歩いた。

帰りのSHが終わり荷物を持って図書館へ急ぐ。別に勉強をするわけではない。司書室に入り司書さんと雑談したり、課題をやったりするだけだ。司書室を利用するのは私だけではなく、主に図書委員会の総務だった。今まで付き合ってきた連中に比べたらはるかに付き合いやすく、楽しい。そのお陰で毎日のように入り浸ることになった。別に苦に感じているわけではないしたまに来る先生方と話すことも為になることが多いから助かっているくらいだ。

だが最近は図書館のほうでよく見かける男子がいるせいか落ち着かない。集会で目が合った男子だ。

今まで一度も来たことがない運動部気質な奴なのにこんな五階まで来る意味がわからない。

また今日も来ている。出来たら今日は来て欲しくなかった。何故ならさっきのこともあるが、今日は楽しみにしていた勉強会という名の講習会なのだ。私の憧れの先生が来て司書室で話をしてくれる。図書館とは仕切りがあるといっても硝子の窓口と扉位だ。覗こうと思えば簡単にできる。だから見られたくない。私が先生の前でどんな顔をしてるかなんて。見られた日には絶望感に浸って死にたい。というかコロシテ欲しい。向かい合って。首に手をかけて。頸動脈に爪を立てて。


奴にサれると想像するだけで興奮する。

あぁ、死にたい。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ