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月の光と葵の乙女  作者: 三好八人衆
姉川決戦の章
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姉川決戦の章~第三話~

就活で忙しく、久しぶりの投稿です。この後の話も遅れる見込みですが、頑張って少しでも早く投稿したいと思いますので、よろしくお願いします!

織田・徳川軍と浅井・朝倉軍は姉川を挟んで布陣。それぞれ浅井軍は織田軍と、朝倉軍は徳川軍と対峙。別動隊として織田軍の丹羽長秀・安藤守就(あんどうもりなり)氏家卜全(うじいえぼくぜん)の三将が横山城を包囲し、稲葉一鉄(いなばいってつ)が徳川軍への遊撃として布陣していた。







徳川軍本陣では軍議が行われ、編成の最終確認が行われていた。

「では、我が軍の布陣を改めて確認しておきます」

総大将・徳川家康の側に座する聖一が姉川周辺の地図に碁石を乗せて、編成を告げた。

「我が軍は四段に構え、朝倉軍を迎え打ちます。まず先鋒は酒井殿」

「応っ!」

「続いて小笠原長忠殿」

「はっ」

「三陣に石川数正殿」

「承知」

「そして本陣、旗本衆となります」

編成を告げた聖一は腰を下ろし、代わって家康が腰を上げて皆に言い放った。

「我ら三河衆の意地、この戦でみせてやりましょう!」

普段はおとなしい主君の喝に奮い立たぬ者はない。全員がうなずきあい、叫んだ。

『応っ!』







織田軍本陣でひとり佇む信長は、山の上に建つ小谷城を見つめていた。彼女の紅い瞳は裏切られた怒りよりも、失望の感情が窺えた

「長政・・・なぜ、オレを裏切った」

信長が長政にかける期待は尋常なものではなかった。自身が溺愛している妹・お市を嫁がせて準一門として浅井家も妹分が当主である徳川家同様、自身が乱世を制する一翼となるに相応しい人物であった。

だが―――それは裏切られた・・・

(やはり、オレには信頼できる一族などいないのかな・・・)

弟たちは総領である彼女に従っているが、重臣である柴田や佐久間・丹羽、頭角を現している明智や木下のような信頼感はない。

彼女の子である奇妙丸は、母である自分の目から見ても子供ながらに賢い子だ。ただ、まだ戦場に立つには早すぎる。

「浅井め・・・オレを裏切った事を後悔させてやる・・・」

そして次第に失望の色を怒りの炎の色に変えて、信長は自軍の兵に喝を入れるべく陣幕を後にした。








朝倉軍本陣では、総大将である朝倉景健が憂鬱そうに溜息を吐いていた。

「もうすぐ開戦だってのに、ウチの兵士たちの士気が上がらねぇな・・・」

その理由として、やはり雑兵にも一大決戦とわかるこの戦いに総帥たる義景の不在が大きいだろう。さらに景健派と景鏡派の朝倉一門内部での対立が兵士たちをウンザリさせているというのもあるのかもしれない。景健と景鏡個人の仲は良いのだが、彼女らを慕う一門や家臣たちの対立が激しい。

「なんとか手を打たねぇと。正攻法だけでは士気の高い徳川軍に対抗できないからな・・・」






姉川に馬蹄が水を踏み抜く音と、兵士たちの雄叫びが響き渡る。そしてそれを上回る銃声と悲鳴。

まず戦端が開かれたのは朝倉軍と徳川軍だった。徳川軍先鋒の酒井忠次隊の鉄砲隊が朝倉軍の先陣を迎え打つ。数で劣る酒井隊だったが、川を渡って機動力が落ちた朝倉騎馬隊を狙い撃つ。さらに二番手三番手と迫ってくる朝倉軍を、こちらも小笠原隊・石川隊が迎え打つ。戦況は一進一退であった。

「士気は我が軍が高い・・・ですが、なにか決定的な一手が欲しい・・・」

徳川軍は兵の士気は高いものの、数で劣り、朝倉軍を追いつめられない。

「くそ~・・・数では勝っているのに、もうひと押しがない・・・なにか、策は・・・?」

朝倉軍は兵の数では勝るものの、兵の士気がいま一つ揚がらず徳川軍を押しきれない。

両軍総大将とも、決定的な手を打ちかねていたのであった。







そして、両軍の戦いに動きが見えようとしていた。一方の軍が本陣を動き、敵軍の本陣を奇襲せんとしたのである。しかし、旗印・兵数は朝霧の為不明―――しかし、確かにその軍は一気に戦況に決着をつけんとしていたのである―――

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