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「生徒会役員」になんてなるもんじゃない。  作者: いわん


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第6回:「文化祭実行委員なんてやるもんじゃない」

生徒会長から言われた一言。「生徒会役員は、例年、文化祭の実行委員もするから」……なんだって?そんな話は聞いてないぞ?!生徒会引退間際で言われた、まさかの出来事。僕の仕事はまだ終わらない。


高校総体も終わり、応援団は引退。二年生が新しく仕切ることになった。ので、僕の応援団としての仕事も終わり。あとは生徒会の仕事だが、それも数えるほどしかない。僕は、正直、安堵していた。これでやっと受験勉強に専念できると。ところが、会長から意外なことを言われた。

「生徒会役員は、例年、文化祭の実行委員もするから」

えっ?そうだっけ?例年の実行委員会に生徒会役員を見た記憶がないんですが……。

でも、まぁ、それが決まりなら仕方がない。ということで、今年の文化祭の実行委員の第一回会議に参加することになった。生徒会としての役割があるのならそれも仕事のうちだ。


まずは実行委員長の選考。立候補したのは応援団の同期だった。

――3年生になってまで、よくやろうと思うなぁ……

この会議に参加している僕が言うのもおかしな話ではあるが、他の係のリーダーも次々と決まっていく。

僕は、その風景をのんびりと見ていた。今回ばかりは「中心になって動く必要」はないっぽい。

と言うことで、僕は「装飾チーム」を希望したのだった。


第一回会議終了後。

「いやあ、よくこの時期に自分から係になるのかな、って思ったよ」と笑顔で会長。

――てーことは、生徒会役員は、別に係を担当しなくても良かったってことですか!

既に希望する係になっていた僕は、あんぐりと口を開けていた。会長、それは事前に言っておいてくれ。僕は「実行委員」になったからこそ、「係」を選んだのだから。生徒会役員は、実行委員の係にならなくても良かったのなら、僕は喜んで「何にもならなかった」というのに。


そうして、「装飾チーム」のサブリーダーになった僕の高校三年の夏が始まった。リーダーは僕の旧知。自らリーダーになったので、その実効性に期待したのだが……どうにも僕には「人を見る目」というものがないらしい、というのをあとで知ることになる。


「おはようございます」「装飾チーム」の僕は集会場所の部屋に行くなり、後輩からの挨拶を受けた。一年生はピチピチとして若くてかわいいねぇ。みんなやる気に溢れている。……って、あれ?

「はい。おはようございます……って、リーダーは?」僕は集まっている後輩に尋ねた。

「まだ来てません」快活に後輩は答える。

「……そっか。じゃあ、先に進めるところまで進めておこう」と僕は音頭をとった。それがサブリーダーの仕事だから。

……でも、結局、その日、リーダーが来る事はなかった。どういうことだ。おい。


その後も「装飾チーム」の打ち合わせにリーダーが来ることは滅多になかった。

装飾アイデアを検討するときも、装飾の準備をするときも。メインの仕事である「ゲート」設置の時ですら。いつしか、僕は、「装飾チーム」の「実質的リーダー」と認識されていた。ドウシテダロウ。


そして時間は過ぎ、文化祭当日。「装飾チーム」の仕事は前日まで全て終わらせた。あとは終わってからの後片付けのみ。

ここで、僕は、「元生徒会副会長」という肩書きを、意図的に悪用した。普通、「文化祭実行委員」は、現場に残ってバタバタと準備・監視をしなければならず、他校の文化祭なんてものは当然、自分の高校ですら出し物を見に行くなんて余裕はない。そして僕は「装飾チーム」の「サブリーダー」だった。その上、実際には何もしないリーダーの代わりに「装飾チーム」を仕切ってきたのである。そもそも「装飾チーム」は前日までが大仕事で、当日の仕事は少ない。その状況、借りを利用して、チームの人間には、「面倒ごとはリーダーに聞いて」と言い残し、他校の文化祭をめぐる事にしたのだ。なにせ僕は「元生徒会副会長」である。「今後の参考に、他校の文化祭がどんな感じか、チェックしてくるわ」と言えば、誰も拒否できなかった。

そうして、僕は、自転車置き場に向かい、他校の文化祭巡りをした。もちろん、その高校の普通の生徒すら近寄らないであろう、文化祭実行委員の部屋や生徒会室にもどうどうと挨拶にいった。こういう時に肩書きを利用しないでいつ利用するのだ、と言わんばかりに。その程度には僕は自分の状況にキレていたのだろう。


文化祭が終わり、体育館で後夜祭のライブが行われていた頃、僕たち「装飾チーム」は、いつもの打ち合わせ場所に集っていた。皆に「お疲れ様」と声をかける。

その時、「おーい、おまえら」と、珍しくリーダーがやってきた。

「あれ、片付けといたから」

あ、看板の片付け、忘れてた。

僕は、一番肝心な「片付け」を忘れていたのである。その指示を忘れるくらい、僕は疲労困憊していた。まぁ、ゲートは夜に作業して事故起こすとヤバいから、先生立ち会いのもと、明日撤去だな。僕はそう言った。

いろんな意味で、一番「疲れた」文化祭だった。楽しくもあったが、むしろ疲労に襲われた文化祭だった。

――本当に、文化祭実行委員なんてやるもんじゃない。


<続く>


次回:第7回:「壇上になんてあがるもんじゃない」

応援団も生徒会も文化祭実行委員も何もかも終え、やっと大学受験に集中できるようになった僕。その僕に意外な依頼が。「三年生代表として壇上に上がれ」――先生、それは前会長の役目だろうに!愕然とする僕。

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