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ファウスト〜名探偵呪縛作家の幻視〜  作者: ヨハン•G•ファウスト


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7/9

第七幕:悪夢の世界

やあ、君。自分の身体が一つしかないのを悔しく思ったことはない?

あと、もうワンセット!

それがあれば、ボクらは自分の身体だけでーー殴り合える。

ーーなんてね。


第六幕では、シャーロキアンによるホームズ作品の執筆の催促が繰り返し行われたのを見た。


その夜の事だ。ーーアーサーは夢を見た。

彼にとって、不愉快な夢だった。

彼は薬品棚が置いてある部屋の中にいた。窓はない。出入り口は一つ。

壁は灰色に塗装されていた。

部屋の中央にはスペースがあった。

そこに全身鏡が置かれてあった。

鏡の前にアーサーは立っていた。

ボロボロの衣装はめちゃくちゃに破けた。

ーー太った身体。太ってたーー!


鏡の中、そこに一人の中年男性が立っていた。茶色い短髪には白髪混じり、灰色の髭が口元を隠していて、体はがっしりしていた。

彼は驚いていた。

「なぜだーー」と彼は声をだした。


「どうやってーーいやーーこれはーー私なのか?私はアーサー・コナン・ドイルだーーそして、ここはーーシャーロック・ホームズのせいか?」

彼は震える手で、自分の顔を触り始めた。

鏡の中には、アーサーの姿があった。

だがその姿の下には、まったく違う人間の気配がする!まったく違う人間が重なって存在してた。

アーサーの目を通して、シャーロック・ホームズの目が、アーサーを見つめていた。


それを彼は感じていた。

アーサーの唇から言葉が漏れた。

「君は誰だーー?」と。


「ーーアーサー・コナン・ドイルだ。お前はシャーロック・ホームズだなーーいったい、何をした?それよりも、ここはーーゆめ?ーーいやーーお前のせいに決まってる!この疫病神が!悪魔め!」と彼は一人で地団駄をふんだ。

「おい、バカ!ーー人を呼ぶ気が?」

彼は、あー、もう、いい加減にしてほしい。口は一つしかないんだ。


「その身体の本来の持ち主は僕だ。すぐに出ていきたまえ。もと来たところに。今すぐ!この悪魔めーー」

「悪魔だと?誰に向かって口をきいてる!ふざけるな!もともと私はお前のことなんて、大嫌いだ!消してやる!お前なんて消してやる!」

「はっ!ずいぶん威勢がいいな!おい、身体を傷つけるなよ!僕は戻るつもりだぜ、太っちょ!なんだ?顔を赤くして、ちょうどいい鏡は目の前にある!じっくり見たまえ、マヌケ!」

「き、キサマーー!私が、キサマを作ったんだ!その薄笑いを今すぐやめろ!崖から突き落としてやる!」

しばしの沈黙。

「なんだって?君がーー作った?

おい、証明したまえ。誰が僕を作れるというんだ?」

「キサマはワトソンを失うのを自分が死ぬよりも恐れている!ーーこの、この人でなしが!」

しばしの沈黙が続いた。

ホームズが口を開こうとした瞬間、部屋の扉が勢いよく開かれた!

「どこから入ってきた!この乞食め!」

ああ、なんてこと!

そこには執事頭がいた。

上品な顔に紳士服をまとった男!

その顔は、怒りに燃えていたんだ。

彼は吠えて、容赦なく飛びかかる!


火かき棒で、

アーサーの尻を強く打ったのだ!


可哀想なアーサー!

この後この悪夢の中で、

散々おいかけられて酷い目に遭うんだ!

数時間も!


(こうして、第七幕ではホームズの畏れで幕を閉じる。)

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