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ファウスト〜名探偵呪縛作家の幻視〜  作者: ヨハン•G•ファウスト


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6/9

第六幕:執筆の催促とわしづかみ

やあ、君。創作者は、物語を作り続ける前に、自分が人間だと自覚しなければならない。この社会はルールで人が守られてるようで、実際にはそうじゃない。攻撃する者が必ずいる。

だから、自分で身を守らなきゃいけないーー。


第五幕では、シャーロキアンを名乗る男をアーサーは見た。


イチョウの並木通り。黄色い葉が、ひらりひらひらと、地面に落ちた。

「シャーロシアン? そうか、ファンなんだね。君ーー、きみ、誰だい?」

アーサーは額に油汗を浮かべながら微笑んだ。

本当なら、この無礼な男に右ストレート、腹にフックをかましてやりたかった。

それくらい、男は細長かった。

男はジロジロとアーサーを上から下まで見つめながら言った。

男はアーサーを無遠慮に観察してた。


「シャーロキアン」と男は訂正した。

見ることに飽きたのだろうか、男はしばらくして、口を再び開いた。

「ミスターコナン。最近のあなたの執筆スピードは、初期の頃とくらべてノロマになっている。

これはあなたが、執筆活動よりも友人たちとの対話または遊戯に興味があるからだ。あなたの肩に背負っているリュック。おそらく個人のスポーツではない。ちいさなリュックにはグローブがある。ボクシングだ。そして、あなたは気分良く歩いていた。勝ったんだーー」

アーサーの頬がひくついた。

男の早口言葉は彼の嫌いなものだった。

目の前にヤツがいる。彼をバカにし、ノロマ、マヌケ、デブとさえいうヤツが。

「なぜ、スポーツをしたかというと、あなたは、いや、君は太ってきたからだ。シャーロック・ホームズの生みの親がブタでは示しがつかないからね。」

可哀想にアーサーは口をあんぐりとあけた。ヒゲが落ちそうな感じだ。

しかも男は、アーサーのワガママボディの胸をわしづかみにした。

そうさ、ニヤニヤしながらね。


「すまないが、そんな風にされると困る。手をはなしたまえーーミスター......?」

「僕はホームズだ。シャーロック・ホームズだ」

「わかった、ホームズ。胸から手を離してくれ。ーー気持ちが悪い」とアーサーはハッキリ言った。主導権は、彼にあった。

ホームズは、彼から手をどかした。

「君は太っているーー。」とホームズは悔しそうに言った。

アーサーの頬がビクッと引きつった。

「お前は何がしたいんだ?」と荒っぽく、アーサーは男に聞いた。

男は目を細めた。

「君が、君の執筆活動がノロマだから......僕は様子を見にきた。大丈夫かなって......」

「心配無用!本は書く!お前は待て!

不愉快だ!どきたまえ!」とアーサーは顔を真っ赤にして並木道を進んだ。


彼は何度か後ろを振り返った。

ホームズは、彼の後ろ姿を眺めていた。

「ーーバカにしやがって」とアーサーは唾を吐いた。

気持ちいい気分が台無しだった。


でも彼の恐怖は、まだ始まったばかりだった。

しばらく歩いた先にも、ホームズがいた。

「やあ、僕はシャーロキアンだ。コナン・ドイルだねーー?」と彼は握手を求めてきた。


アーサー・コナン・F・ドイルは、この後も観察され、胸を掴まれた。

わしづかみだ。


(こうして、第六幕は観察と太っているで幕を閉じる。)

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