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ファウスト〜名探偵呪縛作家の幻視〜  作者: ヨハン•G•ファウスト


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1/9

第一幕:大家族の迷探偵

今回の物語は、ファウストが天に召された後の話だ。

彼の壊れた魂は、

次の誰かに受け継がれた。

もしかして、君の時代にも彼の魂を持つ者がいるかもしれない。


ボクが誰かって?

語り部ファウストさ。

ヨハン・ゲオルク・ファウスト。

君と共に物語を見つめる者であり、

君の友だ。


今度のファウストの魂を引き継ぐ者がわかった。1859年5月22日。イギリスのスコットランドの首都エディンバラ、ピカーディ・プレイスの11番地。

アイルランド系のカトリックの家庭。

そこで彼は、長男として生まれた。


彼の名はアーサー・イグナティウス・コナン・F・ドイル

Fとはファウストだ。

この秘密の名はボクらだけが、

知っているーー。

えーー? イグナティウスって?

ただのミドルネームだ。

ボクらが彼を呼ぶ時、アーサーと呼ぼう。


彼はーーあの有名なシャーロック・ホームズの生みの親。

そして、ホームズに呪われた作家でもあった。

父のチャールズ・ドイルは測量技師補で、うだつが上がらない男。

母のメアリー・ドイルは才媛。

父は国家資格を持っていたが、

彼は絵を描くのが好きな男だった。

繊細な魂のせいか酒に溺れ、病院を転々としてた。

だけどドイル夫妻には子どもは、九人もいた。

信じられるかい?

それなのに、大黒柱が役に立たないーー先行きが不安な家庭で育ったのさ。


それでも彼は1876年ごろに、エディンバラ大学の医学部に進学できた。

父とは違って成功者の親戚が守ってくれたからだ。

でも頼ってばかりは、いられない。

頼りすぎたら、彼のプライドが傷つく。寄生虫のような奴ではなく、彼は一人の男として、自立したかった。


茶色い短髪丸顔で、体はがっしりしていた。スポーツ万能だが、イケメンとまでは思われなかった。

しかも身体つきのせいで、太ってみられた。


家庭にも仕送りするために、

彼は夜遅くまで、

アルバイトまでしてた。

そのせいで大学の授業は眠くてたまらなかった。

ある日の授業のことだ。

油断をしてた。彼の意識は、あっという間に夢の世界へ飛んでた。


「ドイル君」

冷たく、鋭い声が講堂に響いた。

「君は私の講義はつまらないと、身体を使ってアピールしているのかね?」

若きアーサーは、はっと目を覚ました。ここのは、エディンバラ大学医学部の講堂。

周囲の学生たちの視線が、彼に突き刺さった。


教壇に立つジョセフ・ベル教授。

白髪になりかけた灰色の髪、

灰色の瞳が、氷のように彼を見つめていた。

「やれやれーー観察力の欠如ーー、

それと集中力の欠如ーー。

君が医師になれるとは思えんな」

ベル教授はニヤニヤと、彼を、アーサーを見つめていた。


(こうして、第一幕はベル教授で幕を閉じる。

この時、講師が見せたニヤニヤが、

アーサーの人生についてまわる事を、彼は知らなかった。)


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