4 レイ・エリオット
10年後〜
結局リトルは帰れていないまま、10年がたった。
そして、俺は今魔法の本をみている。
この世界は前とは違って、魔法がある、ファンタジー世界だ。
そして、弱肉強食の世界。
強ければ大抵の事は許されてしまう。
一応法律らしき物はあるが、日本に比べれば微々たるものだ。
なので、俺はできるだけ、強くなる必要がある。
だが、俺には魔法の才能はあまりないらしい。
5歳の時に、スキルやレベル、才能をみてもらったが、才能は100中20しかなかった。ちなみに、才能が0だと、レベルも魔法も上がる事がないらしい。
ま、あるだけましか。とはいえ、もう読む本も無くなってきたな。だが、そう簡単には買えない。
何故なら、家が貧乏だからだ。
親が共働きで朝から晩まで働いても、生活がギリギリ。
高い魔法書なんて、買えない。
これだって、古い譲り物だしな。
俺が働いたらもう少し楽かもしれないが、親がそれに反対する。
どうやら、二人とも子供には働かせたくない主義らしい。
働いてる俺ぐらいの奴なんていっぱいいるがな。
まあ、俺はともかく、妹はまだ小さいからな。
そう考えていると、扉が勢いよく開き、そして、子供が俺に飛び込んできた。
「にぃに!遊んで!」
そう、妹のリリア・エリオットである。今妹は4歳で、俺とは6つも離れている。
「俺は今勉強中だから、リトルに遊んでもらえ。」
俺の言葉と同時に俺から分裂したリトルが出てきた。
リトルは自由に俺の中からでる事ができるらしい。
そして、リトルの事を知っているのはリリアだけだ。
もちろん神ということは伏せている。
「むー!リトルと遊ぶくらいなら一人でいいもん!」
「リリアちゃん?ひどくない?」
リリアの言葉にリトルがあからさまにショックを受けている。
「今日はリトルで我慢しなさい。」
「レイまで!兄弟揃って僕の事をなんだと思っているのさ!」
俺の言葉にまたもやリトルが反論してきた。
ったく。うるさいな。これじゃ魔法も憶えれないだろ!
ああ、そうだ。リトルの言ったとおり、今の俺の名前はレイ・エリオットになった。
そう考えていると、リリアが不満そうに、リュックを背負った。
「もういいもん!リリア一人で森に行く!」
リリアはほっぺを膨らませて俺にそう言い残した。
そして、そそくさと家から出ていった。
「は?森?」
そんな俺の言葉を無視してリリアが出て行った。
「あーあ。行っちゃった。僕は君の中にいるからせいぜい離れられるのは百メートル。リリアちゃんは追いかけられないよ。」
「は!別に好きにさせたらいいだろ。別に家出をしたわけじゃあるまいし。」
「でも、あの森は最近魔物の目撃情報が多いよ?リリアちゃんだけじゃ危険じゃない?」
「・・目撃情報は奥だろ?この辺にはそうそうでねーよ。」
俺はそう言って本の続きを読み始めた。