12 ネーロ商店
俺は恐る恐るネーロ商店に入った。
ドアを開けるとそこには黒髪に青い目、そして、そこら中に宝石を身につけている30歳くらいの男が座っていた。
いかにも金持ちって感じだな。
俺はそう思いながらその男に話しかけた。
「すみません、魔物の素材を買い取って欲しいんですけど・・」
「チッ、はい!では、その魔物の素材をここに出してください。」
男は小さく舌打ちをし、それを隠すように、笑顔でそう言った。
俺は少し不快になりながらも男の言ったとおり、熊の素材を机にだした。
「はーこれは、グロースベーアですね。
正直、よくいる魔物ですし、倒すのも簡単だ。
その上、解体も荒い。なにより、魔石がないんじゃ話にならない。」
解体は初めてだから、仕方ないとして、倒すのは大変だったんだがな。
俺が不満に思っていると男は続けた。
「まあ、特別に銀貨3枚で買い取ってあげますよ。」
男は完全に上から目線でそう言った。
銀貨3枚!?魔物の素材だぞ?とはいえ、これが本来の価格ならどうしようもない。どうしたものか。
俺が迷っていると男はニヤニヤしながら待っている。
うーんまあ、持っていてもしかたないし、銀貨3枚でも売っておくべきか?
俺が決断しようとすると、店のドアが大きな音をたてて開き誰かが入ってきた。
入ってきた人は黒いローブに狐の仮面を被っいる。
体系的に女か?歳は見た感じ俺と同い年か年下だな。
「やっぱり。」
謎の黒ローブの少女は俺の持ってきた素材をみてそう一言呟いた。
「また客を騙していたのね。アシールさん。」
謎の少女は男をみてそう言った。
どうやら金持ちそうなあの男はアシールというようだ。
「また邪魔しにきたのか!いい加減にしろ!!お前のせいでどれだけ売り上げが下がったとおもう!!」
「それは、貴方が人を騙してお金を取るからでしょ!!」
「この世界は弱肉強食だ!!騙される方が悪い!!」
アシールは全く聞く耳を持たない。
「それなら私が邪魔するのも問題ないわよね?」
謎の少女はアシールにそう言い返した。
その言葉を聞いたアシールは悔しそうだ。
「はあ、そこの貴方。この素材を売るなら冒険者ギルドがいいわ。ちゃんとした価格で買い取ってくれるはずよ。」
謎の少女は俺にそう話しかけてきた。
「ここの道をまっすぐ進んで、左に進むと大きな道があるから、そこを左に歩いて行ったら剣の旗が立ってるはず。そこが冒険者ギルドよ。」
少女は道を指差しながらそう続けた。
「ありがとう。」
俺はそう軽くお礼を言って店をでた。




