1 プロローグ
「なあ、今月から始まった、アイスヒーローみてる!?普段は冷たい主人公がたまに熱く!優しくなるんだ!あれがかっこいいんだよね!藤崎もみてみろよ!絶対ハマるって!」
今日は高校の帰りクラスメイトの篠宮と帰っている途中そんな話をされた。
またいつもの、ヒーローアニメの話か。
そう、こいつは絶賛ヒーローどハマり中だ。
それはいいが、どうしてこいつは、ヒーローアニメの面白さがわからない俺にいつも話しかけて来るのだろうか。
そう、俺は小さい頃からヒーローが好きではなかった。
別に嫌いっていうわけではないが、面白さがわからない。
それ以前に俺には正義というものが好きじゃない。
だから、ヒーローが好きじゃないのだろう。
俺には正義がなんなのかがわからない。
みんなの考えの平均?法律にしたがっていること?そういうのが俺にはわからない。
だが、それに答えなどないのだ。
人が喜ぶことをするのは自分の気がよくなるだけの自己満足にすぎない。俺は自分の好きな奴には手をかすが、嫌いな奴にはやりたくない。
何がいいことか、何が悪いことか、ずっと考えていたが、思いつかない。まあ、今更どうしようという気もない。ただ、みんなの正義をやって生きていればいいのだから。
俺は篠宮の話を聴きながら考える。
はあ、いっそのこと、弱肉強食の世界になれば楽なのかもな。
そんなことを考えている時だった。
篠宮の前にトラックが突っ込んで来たのは。
「え!?」
俺は慌てて篠宮を突き飛ばした。
「え、藤崎?嘘だろ?なあ、返事しろよ!なあ!」
そんな篠宮の声が頭に響く。篠宮は無事か。
・・どうやら、俺は篠宮の事、少しは気に入ってたようだな。
「そんな、藤崎・・。俺のせいだ。俺がいなければ。」
篠宮がそう言っている気がする。
なんでお前のせいになるんだよ・・
俺が勝手に突き飛ばしただけだろ・・
はあ、おれ、最後まで変わんねーな。
そして俺の意識は亡くなった。
・・ん、ここは?
俺が目を覚ますと一面真っ白の世界にいた。
どこだここ?俺は死んだはずじゃ・・
そんな時、どこからか声が聞こえた。
「やあ、起きたみたいだね!初めまして・・かどうかはわからないか。とりあえず僕の名前はリトル・フォート・ブィシュル。気軽に、リトルってよんでね!」
そして、目の前には緑色の髪に黄色い目の綺麗な少年が立っていた。