嵐の幕開け 3
コン コン コン
「失礼します」
勅使河原会組員が入ってきた。
「皆さん準備が出来ました、会議室のほうへ移動をお願いします」
幹部たちは立ち上がり待合室を出た。
村井は待合室に待機する。
正面玄関を見ると、先ほどまで外にいた組員が中に入ってきた。
彼らのスーツはビショビショに濡れている為、他の組員がタオルを渡していた。
会議室に続く廊下は長く、壁にはたくさんの絵画が飾られている。
会長いわく、すごく高価な絵らしいが、素人にはその価値がよくわからない。
その絵を横目に進んでいくと右の部屋には武器庫がある。
扉の前には必ず組員が立っている。
その先を進むと会議室があり、その奥に会長室がある。
仲宗根、比嘉、喜屋武は会議室に入った。
「失礼します。頭、ご無沙汰しております」
仲宗根がお辞儀をした。
左から五番目の椅子には、本家若頭が腕を組んで座っていた。
比嘉と喜屋武が後に続いて、挨拶をする。
勅使河原会若頭 大城 憲之
彼は、那覇市全域で賭博とホテル経営を仕切っている。
那覇の名のあるホテルは、彼が全て運営しているといっても過言じゃない。
大城はかなりの武闘派で、柔道日本チャンピオンに輝いたガタイのいい人物だ。
五十歳をこえているにもかかわらず、朝は毎日自宅で稽古をしている。
その為か、見た目は年齢よりも若く見える。
すると会議室の扉が開き、組員が入ってきた。
「失礼します」
盗聴器発見器を手に持ち、壁や天井を調べ始めた。
サツが盗聴していたら、勅使河原会が大惨事になるため徹底的に調べる。
ピーピーと、機械から音が鳴っている。
そして組員が発見器の電源を切った。
「問題ないか?」
「問題ありません。失礼しました」
と、組員が会議室を出た。
「そういえば、本家には来ていないんですか?襲撃」
「お前らもか?」
大城は、喜屋武と同じ表情を見せた。
「帰り道に車で激突された。大事には至らなかったけどよ」
「今日の会合が終わったら、襲撃してきた野郎がどこのもんか調べてくれ」
「はい」
ドアの向こうから声が聞こえる。




