隠された狂気 4
署の駐車場に車を停め、座席から降り、南城は署内へ入った。
受付を通り過ぎ、階段を上る。捜査一課の事務所は二階にある。
事務所に足を踏み入れると、
「南城さん」
と、名前を呼ばれた。
顔を上げると、上原がこちらに歩いてくる。
「おはよう」
「おはようございます。廃墟の書類に付着していた指紋の検査結果が出ました。前里専務のものと判明しました」
「そうか。よし直接、前里専務に訊こう。津波古株式会社に向かうぞ」
津波古株式会社に到着し、建物の中に入る。
前回来た時に受付にいた女性はおらず、別の女性が座っていた。
「すみません」
「こういうものなんですけど」
警察手帳を見せる。
「あっ、どのようなご用件でしょうか?」
「専務の前里さんにお会いしたいのですが」
「大変申し訳ございません」
女性は頭を下げた。
「はい?」
「前里専務は、本日出勤しておりません」
「え? お休みですか?」
「はい」
「そうですか。わかりました」
そう言い、会社を後にした。
南城は考えながら歩く。
昨日、前里専務と裏社会の人間の関わりを示す資料を見つけたばかりだ。
その翌日に会社に出勤していないのは不自然だ。
「上原、前里専務の家に行くぞ」
車を走らせ、しばらくすると専務の一軒家が見えてきた。
だが、車庫に車は停められていない。
車から降り、チャイムを押すが反応がない。
「前里さん!」
名前を呼んでみるが応答はない。
ドアノブに手を置き、引いてみるとドアが開いた。
中には下駄箱が見える。
鍵はかかっていなかった。
「開いてるぞ」
「本当ですか?」
南城は拳銃を片手に持ち、慎重に中へ入る。土足のまま室内に進んだ。
左側の部屋に入ると、そこは台所だった。
整然としており、端にはテーブル、前にはテレビが設置されている。
台所を確認した後、二階へ続く階段を上る。そこにはいくつかの部屋があった。
一つ目の扉を開けると、そこは寝室だった。
広さは八畳程度。中央にはベッド、その横には机がある。
南城は銃をしまい、手袋をはめた。
「いないですね」
「何か証拠になるものがあるかもしれない。上原は一階を頼む」
「わかりました」
上原は部屋を出て行った。
南城は机の引き出しを引き、中を覗いた。
中には折り畳み式のノートパソコンが入っていた。
それを取り出し、机の上に置いて電源を入れる。
画面が映り、津波古株式会社に関連するいくつかのファイルが保存されていることがわかった。
次に、インターネットの履歴を確認するためブラウザを開く。
カーソルを操作して履歴をクリックすると、昨日検索された言葉が表示された。
「飛行機チケット予約」と書かれている。
南城の頭に浮かんだのは一つの可能性だった。
…国外逃亡?




