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彼女にフラれた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう  作者: 遊。


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恋は盲目

こんにちは、リオです。


成り行きではありますが、今日から私もバイトデビューです。


人間界でのバイトは初めてなので楽しみです。


悠太さんも一緒だし……。


いや、それはただ知り合いと一緒だからですから……。


別に他意はありませんよ。


って誰に言い訳してるんでしょうか……私は。


兎に角きっと楽しくなるはず!……そう思っていたのですが……。


志麻さんは相変わらずだし……なんと悠太さんから聞かされたトラウマエピソードの二人がアルバイト先で働いていたのです。


「リオちゃん、宜しく。


うちの職場忙しい時はほんと忙しいから覚悟しなよ?」


悠太さんには最初から嫌悪感もあるからか厳しい神田さんも、私にはとても優しかった。


「はい!頑張ります!」


「うん、分からない事は気軽に聞いてくれていいから。」


「ありがとうございます。」


優しい先輩バイトさんがいて良かったです……。


なんて安心してられたのも束の間。


「リオちゃん!そっち宜しく!」


「あ、はい!」


そこから慌ただしく動き回りながらも、神田さんにはその合間に接客のやり方からレジの使い方とかを本当に分かりやすく教えてもらった。


「三澄!遅い!」


「はひ!?」


ほんと、、悠太さんには厳しいけど……。


でもこうして関わってみて神田さんが本当は優しい人だと言うのが分かりました。


それは多分悠太さんも気付いてると思います。


だからあんなに厳しくされても言われた通りに仕事をしている。


対して……。


「悠君、頑張ってね!」


「あ、あの。」


もう一人の先輩アルバイトの豊原先輩はと言うと……正直苦手です。


「……何?」


神田さんにも色々教えてもらったのですが、当然神田さんでも教えられない場面や分野はある。


だからこうして豊原先輩にも聞かなきゃいけない事がある訳なのですが……。


「えっと...。」


「用があるなら早くしてくれないかな。」


「ご、ごめんなさい。


これはどこに片付けたら……。」


「あぁ、その辺に置いとけば?


あ、悠君!」


悠太さんの顔を見ると、少し前まで私に向けていた無愛想な表情が見るからに変わる。


確かに、転生前の世界で、悠太さんは彼女に告白されたと言っていました。


悠太さん以外有り得ないと言う程だったらしいですが、最終的に彼女は別の人と結婚したと聞いています。


それがどうしてそうなったのかは聞いてないし、そうなるまでにどんな心境の変化があったのかは分かりません。


でもそんな状態で転生したなら、悠太さんへのあの態度はどういう事なのでしょう。


その辺りの話も含めて悠太さんと話さないと……。


そして昼休憩。


早速悠太さんに相談しようと思っていたのですが……。


「そうだ!悠君良かったら私のお弁当少し食べない?ちょっと多めに作ったの!」


なんて、近くに私が居るのにもお構い無しで持って来た弁当を広げて悠太さんに差し出す豊原先輩。


なんと言うかあれですね……。


好きな人と自分しか世界に居ない、見えてないとでも言いたいような……。


まるでこの状況をあえて見せつける事によって邪魔をするなと牽制しているかのような……。


兎に角、状況的にとても気まずいのは確かです。


持ってきていたお弁当も正直全然味がしません……。


「私、先に戻りますね。」


いつもなら絶対食べ切れる筈のお弁当を、今日は食べる気になれず半分以上残してしまいました……。


正直気まずさもあります。


でも何故か目の前で築かれている二人だけの世界が見ていられず、その場を離れずにはいられませんでした。


悠太さんも何か話があるようだし、仕事帰りには一緒に帰って話せますかね……。


そして結局、それも叶わずに終わる。


「悠君!途中まで一緒に帰ろ!」


あぁ、まただ……。


私が入り込む余地なんてないし、入り込ませる気も無いような。


「私、先に帰りますね。」


そう言って背を向けた後、一度だけチラリと振り返ると、自然な感じで悠太さんの腕を引く豊原先輩が見えてモヤっとします。


なんでだろう、すごく寂しい。


朝一緒にバイト先に向かうまでは、いつでも話せていたのに。


なんだか悠太さんがとても遠くに行ってしまったような。


「疲れてるんでしょうか……。」


一人トボトボと駅に向けて歩く。


自然と足取りも重くなる。


本当にどうしてしまったんでしょうか。


今まで一人でいる時間の方が長かった。


家に帰っても一人だし。


それで別に寂しいと思った事は無かったし、いや最初は感じていたかもしれない。


でもいつからかそれが当たり前になって気にならなくなっていて。


なのに……。


今は一人で居る事がこんなにも寂しくて、胸が痛い。


早く帰ろう……。


駅に向かっていた足を止め、人目につかない場所に移動してから行きたい場所ドアを使って部屋に戻る。


引き出しから顔を出しても悠太さんはまだ居ません。


ドアを使ってすぐに帰ったから当然ですが……。


今頃豊原先輩と何してるんでしょうか……。


不安と一緒にモヤモヤとした感情が渦巻く。


色々考えたところで何も変わらないし、きっと悪いようにしかならないだろう。


何もする気にならず、そのままベッドに倒れる。


「明日からもやっていけるんでしょうか……。」


まだ初日なのに……。


仕事自体は忙しいながらにやりがいがあって良いなと思った。


でもあんなのを毎日目の前で見せつけられる事を考えると、どうにも気が滅入ってしまう。


「もうこのまま寝てしまおう……。」


そうして私は目を閉じる。



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