マッチョになりたきゃMになれ!
さて、無事に現国を乗り切った訳だが、次の授業は体育である。
学生時代平凡ど陰キャだった俺が運動神経抜群!…な筈もなく。
それが転生したからと言って改善され!…たりする訳もなく…。
「こ、高校の体育って…こ……こんなに……は……ハードだったっけ…?」
開始数十分。
既に俺は息切れしていた。
「なっさけない…。
まだ一周しかしてないじゃないですか。」
本日の体育はマラソンだ。
それなりの広さがあるグラウンドを、各々のペースで走る形式な訳だが…。
何を隠そう。
現世の高校時代、マラソンは友達とだべりながら走らずに普通に歩いてた俺だぞ。
と、言うのも元々いた専門学校には固定のグラウンドが無く、体育は少し離れた体育館か、更に離れた公園を利用していた。
公園近辺のランニングコースはそれなりに距離もあり、走る間教師の目も無かったし、各々のペースで良いとの事だったから大体のやつは教師の目がある公園を出た辺りから俺と同じように友達とだべっていたように思う。
でも、当然ただのグラウンドでのランニングでそんな物は通じる筈もなく……。
「何お前…。
天使だから疲れないとかそう言う感じ…?」
呆れ顔をしてくるロリ天使はまだまだ余裕そうで少しムカついたので皮肉を言ってやる。
「誰がロリ天使ですか!?
こう見えて私転生前のあなたより年上ですからね!?大人の魅力たっぷりですからね!?」
「はいはい、凄い凄い。」
「聞けやコラ!?」
ひーん…怖いよう。
「良いですか?筋トレとは肉体を痛めつける事です。
と、言う訳でマッチョになりたい奴は存分に自分の身体を痛めつけてください。
後にそれが快感に変わります。
マッチョのMはドMのMです!」
体育教師松崎政次郎
角刈りマッチョなおっさん先生である。
それにしてもこの先生何言ってるんだろう…。
「あひん!♡」
「アナさん、そんな事言っちゃダメですよぉ。
みなさぁん、怪我には気を付けてくださいねぇ!」
突如現れた千鶴さんにケツを引っぱたかれてる…。
一応お仕置のつもりなんだろうけどされた本人普通に喜んでるんだが…。
いや、これ千鶴さんだし喜ばせる為にやってる説あるな、、
「ではではぁ、引き続き頑張ってくださいねぇ。」
ちなみにアナと言うのはUthtuberでの彼のニックネームである。
俺の古参ファンであり、数少ない俺を最推しと呼ぶメンバーである。
今はその場に腕をついて、千鶴さんの椅子になってるマッチョ松崎。
なんだこの地獄絵図。
その場所変われこの野郎。
「キモっ…。」
それにしてもこの子本当ストレート過ぎない...?マッチョ松崎に言ってるんだよね?俺じゃないよね?ね?
「それより悠太さん。」
え、今露骨に話しそらさなかった?
「隣の席の人って元カノさんなんですよね。」
「…気付いてたのか。」
「まぁ、分かりますよ。
授業中にあんなやり取りしてたら。」
「え、何?授業中授業そっちのけで俺の事見てたの?俺の事好き過ぎじゃ「は?」」
「ごめんなさい調子に乗りました!」
ちなみにリオの席は俺のちょうど反対側、入口前の席である。
「いや、普通に目に入るし多分他の人も気付いてますよ?」
「マジか…。」
気付いてなくて触れられないでいるのと、気付かれていて触れないでいてくれてるのじゃ天と地ぐらいの差があるんだぞ……。
明日からどうクラスメイト達と関わって行けば良いんだよ...。
「それにしても、まさか隣の席だったなんてびっくりですよね。」
「あぁ、間違いなく今年一びっくりだわ。」
まぁ転生してまだ1日しか経ってないけどねw
「なぁロリ天使。」
「今度は声に出して呼んできた!?」
「頼む、席変わってくれ!」
「いや頼み方の態度!!
そんな呼ばれ方されて私が快諾するとでも!?」
「え、するだろ?だってチョロいし。」
「いや普通に嫌ですが!?
それ聞いて余計嫌になりましたが!?」
ダメかぁ...。
「逆になんで受けてもらえると思ったんですか…。
普通に嫌ですよ!」
「ケチ天使。」
「悪口やめませんかね!?」
「仕方ない、まぁそれは担任に聞くとしてだ。」
どうにもこの世界はただ親しい知り合いばかりに囲まれた夢空間、と言う訳でもないらしい。
「まさか元カノまで居るなんてな…。」
「元カノどころか悠太さんが言ってた神田旭さんとかも居ましたよ。」
「マジかよ、、。」
やっぱり彼氏と居んのかなぁ……顔合わせて睨まれたらやだなぁ……。
どうやらこの学園生活、一筋縄ではいかないようだ。
「一筋縄?是非縛ってくれ!あひん♡」
もうやだこの先生、、