ハルたん会長の仰せのままに
「ちなみにだけど、別荘での部屋割はここでの部屋割と一緒にするから。
そのつもりでね。
鍵も別荘と客室で一緒にしてるから。」
ペア決めの最中、会長がそう説明する。
「え!って事はあたし別荘でもハルたんと一緒なの!?」
「何、不満な訳?あとハルたんって呼ぶな。」
「や、やだなぁ別に不満な訳じゃ…。」
苦笑いの瑞穂。
「ってか良いじゃんハルたん。
可愛いらしくて親しみ易くない?」
「別に呼び名に可愛いらしさとか求めてないから…。
それにそう言うのは私のイメージに合わないと言うか…。」
「えー?良いと思うけどなぁ。
悠太も呼べば良いのにー。」
「いや…なんでそこで俺に…。
それにそんな恐れ多い!俺ごときが会長を愛称呼びだなんて…!」
「…呼んでくれないの?」
「ほ!?」
なんでそんな残念そうな表情!?
さっきまであんなに嫌そうにしてたのに!?
「ちょいちょいハルたん!そりゃないよ!
あたしの時と随分反応が違うじゃん!」
「だって三澄悠太君、最初からそうだけど私の事を随分格上の存在みたいに扱うんだもん…。」
「うっ…。」
どうしようw思い当たる節がありすぐるw
誰だ接待ゴルフとかしようとしたやつ!?
あ、俺だわw
「私だって、生徒会長である前に一応は同級生なんだけどな?」
「いやそれを言うなら会長も何故に毎回呼び名がフルネーム…。」
「だ、だって仕方ないじゃない!
男の子の名前を呼ぶのに慣れてないんだから…。」
「ハルたん小中と女子学らしいしね。」
「だからあなたはハルたんって呼ぶなっての…。
そうよ、物心着いた時からずっと女子ばかりの環境で育ってきた。」
「ならなんで高校からは共学に?
しかも生徒会長にまで。」
「それは…その…このままじゃダメだと思ったのよ。」
「ダメ?」
「私、いずれは父の会社を継ぐつもりなの。
その為にこれまで色々勉強をしてきたんだから。」
「それで今度は異性との関わり方の練習って訳か。」
「えぇ、そうよ。
まぁそれであんなにモテまくって生徒会長になった途端にメンバー決め抽選会になるとは思わなかったけど。
と言うかどう言う状況よ、これって感じ。」
それは本当そう…。
「それもあって軽く男性不信になりかけてたの。
副会長に選ばれたやつもチャラ男だったしね。」
「確かにその話は他の二人からも聞いたな…。」
「それだけにこないだの勉強会も結構勇気を出して誘ったつもりだったんだけどなー。
連絡先聞いた時もなんかPCメールで良いかとか言われてちょっとショックだったんだからね?」
「うっ…。」
返す言葉もなくて草、
「あの時の悠太を待つハルたんの反応まんまデートだったもんねw」
「失礼な事を言うのはこの口かしら?」
右人差し指で瑞穂の頬をグリグリする会長。
「ふぇぇ…ふぉんふぉのほほじゃんー(本当の事じゃんー)」
「え?やっぱあれってデ…「出かけただけだから!」異性と二人きりだしやっぱ「ただ二人で出かけただけだから!」おぉん…。」
俺のセリフを速攻で遮る会長…。
意地でも認めないつもりらしい…。
「さっき妬いちゃうとか言ってた癖にー。」
「あ、あれは…その…!」
瑞穂のセリフに顔を赤くして黙り込む会長。
「あはは黙っちゃって可愛い!」
「は?」
「ひぃっ!?」
あぁあ、調子に乗るから…。
「大体お前のはデートって言うより連行だろうが…。」
「えーまぁ否定はしないけどさー。」
「いや…しろよ…。」
「でもさ。」
そこで言葉を切ると瑞穂は俺の耳に顔を近づけて来て。
「あたしがあんな事頼むのは悠太だけだよ?」
なんて囁いてきた。
「っ…!?」
「あ、ちょっとドキッとしちゃった?」
小悪魔のような笑みを浮かべながら瑞穂が言う。
「……縄文土器くらいだな。」
「全然例えになってないしただドキと土器をかけただけだ!?」
とは言え内心はドキドキである。
だって当たり前だろ…。
ビッチだけど清楚系と呼ばれるような整い過ぎた容姿で、勿論声だって可愛いらしく透き通ってて…。
そんな彼女にあんなセリフ囁かれてドキドキしない訳がない…。
いや本当あんなシチュエーションじゃなきゃ良かったのに…。
どうしてこうなった…。
「あれ?でもなんか赤くなってない?ん?ん?」
またニヤニヤする瑞穂はとりあえずそっぽ向いて放置。
「酷っ!?」
「えっと、とりあえずこれからは俺会長の事親しみを込めてハルたん会長って呼ぶわ。
会長は?」
「な、なんだか照れくさいけど分かった…。
じゃあ私は悠太君って呼ばせてもらうわね。」
「了解。」
その後、瑞穂と俺発案のハルたん会長呼びが社会現象…いや校内現象となるのだがそれはまた別の話…。
さて、そんな中流れは引き続き部屋のメンバー決めの流れに戻った訳だが。
「ね!せっかくだし悠太、直也と組みなよ!」
「「は?」」
何がどうせっかくなのかちっとも分からないんだが。
「だって私は蘭ちゃんと組むし、それだと直也は悠太ぐらいしか知り合いが居ないんじゃない?」
「確かに知り合いではあるけど悪い意味での知り合いだからな!?」
言い返す直也。
「でも仲直りするって約束したじゃん?」
「「うっ…。」」」」
したはした。
でも結局決裂してんだよなぁ…。
「じゃあやっぱり私と!」
めげない志麻!
正直直也と組むくらいならとは思うが…いやコイツはコイツで問題だな…。
「あ、間に合ってます。」
「そんなキャッチセールスへの断り文句みたいに!?
ぴえん…。」
「まりちゃん、悪いんだけどコイツと組んで様子見といてくれ。」
「ラジャ!」
志麻はとりあえずまりちゃんに任せるとして…。
「じゃあ私は宏美さんと組ませてください。」
「え、私?」
そう提案したのはリオだ。
「はい、お願いします。」
「私は別に良いけど…。」
意外な組み合わせだけど何か考えがあるのかもしれない。
ここはリオに任せる事にする。
「じゃあ私は宮戸と!」
「悪い、はいね。
私は今回彼女と積もる話がありそうなんだ。」
「ぐふふ…。」
宮戸美紀の腐女子組。
1番合わせちゃいけない組み合わせな気がする…。
「えー……なら私は…?」
考えてみたら今回の参加人数って奇数なんだよなぁ。
必然的に誰か一人余る訳だが。
「悠ちゃんがそいつと組むなら俺は智ちゃんとだな。」
「ちょ!?おま!」
コイツさっき振ったの根に持ってやがるなw?
なら俺が1人で!
「でははいねさんは私と組みましょうぅ。」
そうにこやかに提案したのは千鶴さんだ。
「千鶴先生!ありがとうございます!」
千鶴さんと組めるのが嬉しいのかはたまたぼっち回避出来たのが嬉しいのか…。
どっちもありそう!でも喜んでるとこ悪いけど良かったら変わってください←
まぁ異性と同じ部屋は色々マズイししょうがないか…。
それにしても…。
残ったのがマッチョ松崎と直也って…。
どっちに転んでも悪い予感しかしない、、圧倒的はずれくじ…!
「悠たん、一緒に寝る?今夜は寝かさないよ?」
ウホッ!いい筋肉…いかんいかん…。
「一緒に夜通しMの道極めよ?」
あ、やっぱダメだこの先生ww
「うーん…奇数だからどうしても一人余るのよね。」
考え込むハルたん会長。
「それなら心配はいらないのですぅ。」
そこで口を開いたのは千鶴さんだ。
「え?」
「アナたんにはちょうどいい専用のお部屋があるのですぅ。」
「え?そんなのあったかしら…。」
ハルたん会長も知らない…ってまさか!?
「絵美さん、ケージお借りしますね?」
「あ、はい…。」
やっぱりww
「ウホー!?ケージはご褒美!」
「えぇ...まぁ本人が良いなら良いけど…。」
ハルたん会長もドン引きじゃないのww
と言うか絵美wちょっと残念そうな顔するんじゃないw
こうして…残った俺、直也が組む事になってしまったが。
「ちっ…。」
俺の顔を見て露骨に舌打ちする川崎。
どうしよう早くもキレそうなんだがw
そこが伏線!?笑
ってところをあえて拾っていくスタイル←




