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彼女にフラれた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう  作者: 遊。


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生徒会長綾瀬波瑠の憂鬱

「へぇ、お兄ちゃん生徒会に入るの?」


「とりあえずヘルプでな。」


生徒会長騒動があった日の夜。


その日の出来事を夕飯を食べながら日奈美に話していた。


「あのお兄ちゃんが生徒会ねぇ……。」


何処か感慨深気に呟く日奈美。


俺個人的には断りたかったのだが、、だってダルいし(5回目)。


それなのに……なんでやる事になったのかと言えば……。


あの後、俺は人目を気にしてか生徒会室に強制連行された。


席に着くと紅茶とクッキーを出してもらったので話くらいならと席についたのが運の尽き。


「それでなんで三澄悠太君にこだわるか、だったっけ?」


「そうそう、生徒会長様なら引く手数多だし幾らでも俺より優秀な人材を選び放題だろ?」


「確かに、君より優秀な人材は探せばいるわね。


実際私が生徒会長になって、生徒会に入りたいと希望を出してきた人は多数いたし、一時期は抽選会をするまでになったわ。」


なにそれパネェ。


なんだよ役員決めの抽選会って。


当たったら当たったで学生生活無給無休で社畜しなきゃいけないとかなんの罰ゲーム?


あ、なんかむきゅーって鳴き声みたいで可愛いくない?むきゅー♡


「で、実際にそれで役員も滞り無く決まったわ。」


「ならまぁ万々歳じゃ?」


「そう思うでしょ?


でもね、その誰もが私と近づくのが目的で生徒会にやりがいも興味も無いのよ。」


「あぁ…。」


まぁ分からなくもない気がする。


俺も千鶴さんが保健室の先生と知ってちょっと保健委員になろうかと考えたりもしたが、それは仕事がしたいからじゃなく単純に千鶴さんと一緒に居る機会を増やしたいが故のただの下心でしかない。


「えーっと……つまり、入ったは良いがちっとも役に立たない人材ばかりが集まってしまった、と。」


「端的に言えばそうね。


生徒会ってほら、時期とかにもよるけど結構激務だから。


に近付こうとしてやり始めても、仕事内容に耐え切れなくなって辞退する、もしくは急に来なくなって自然消滅、みたいな生徒が後を絶たないのよ。」


「あー……。」


「ウチとしてもそんな人ばかりで正直うんざりしててね。」


頭を抱える生徒会長様。


うーん……モテたいと思った事が無いわけじゃないが……モテすぎんのも考え物だな……。


「それでなんで俺に?」


「私が推薦したんだよ!」


そう言って生徒会室に入って来たのは絵美だ。


「え、絵美お前生徒会の人間だったのか?」


「そそ、生徒会会計だよ!」


「彼女の推薦もあって君の事を色々調べさせて

もらったわ。


その上で元々知り合いだったみたいなのもあって私は君に興味を持ったの。」


「いやいやそれにしたって……。」


「あれ?よく見たら悠やん!やっほ!」


「ふぇ?」


と、そこでもう一人の生徒会メンバーらしき人物が俺に声をかけてくる。


「ウチの事分からん?」


活発な雰囲気のボーイッシュ系黒髪ショートカットの髪型。


少し制服を着崩した感じでスカートもなんか短いような……?


「悠……?」


見すぎた。


怪訝な表情を浮かべる彼女に、俺は愛想笑いを返す。


「え、もしかして眠ちゃん?」


「そうそう!って違うわ!?


蘭やし!」


この関西弁ボーイッシュ女子は、俺がUthtuberで仲良くしていたメンバーの一人だ。


たまに寝落ちする系Uthtuberである。


それをイジる意味と愛着を込めて俺は眠ちゃんと呼んでいるが、本人は全く納得してない。


「生徒会、書記。


藤沢蘭(ふじさわらん)


改めてこっちでもよろしくな!」


「ちなみに今生徒会には私を入れてこの三人しか居ないわ。」



「えぇ……。」


なにそれ破綻してんじゃん……。


「いや、話は大体分かりましたけど副会長すら居ないんすか……?」


「ちなみに副会長が一番希望者が多かったのよね。」


「あ……。(察し)」


そりゃまぁ……生徒会長にお近付きになる目的で入るなら一緒に肩を並べてって感じの副会長が一番相応しいのだろう。


でも実際そんな重要なポストを覚悟も責任感も無いヤツが引き受けたらどうなるか、なんて火を見るより明らかだ。


「ついこないだまでおった副会長はむっちゃチャラ男でな?


もう仕事は全くせんわ、会長目的の癖にウチらにまで声かけて来るわで出禁にしてやったわ。」


なんて言いながら顔を顰める蘭。


「あー、あれは確かに面倒だったね……。」


絵美も顔を顰める。


あれか……女の子ばかりの職場に男一人!みたいな状況にちょっと酔っちゃった感じか……。


気持ちは分からなくもないが現実はそんなに甘くないぞ……。


メンバーが全員主人公を好きになる!みたいなラブコメ展開なんてファンタジーだしあるのは膨大な仕事と他が異性故の気を使い合う雰囲気と一人だけ異性が故の疎外感だけだ。


よくラブコメで男子一人女子複数での泊まりがけイベントとかあるけどあれ本当地獄だと思うの……。


そりゃ、仲良かったらそれなりには楽しいんだろうけど……風呂は当然ながら部屋まで分けるとなると男の自分だけ一人部屋で寝てさ、そもそも一緒に出かける意味。


なら最初から1人で旅行した方がいい気さえする。


「そこで三澄悠太君、あなたを勧誘しようとなったのよ。」


「いや、だからなんでフルネーム……。


大体意味も分からないし……。」


「だってそうでしょ?


あなたは全く私にも、なんなら生徒会にすら興味無いんじゃない?」


「まぁ……そうだな。


だってダルいし(6回目)」


「何より先にも触れたように君は学内で有名な生徒や教師に囲まれているし、話題性も充分。


そのうえ生徒会メンバーとも全員知り合いみたいじゃない。


これは果たして偶然かしら?」


「間違いなく偶然だと思います!」


「一瞬の迷いも無く断言した!?」


絵美が驚き顔でそう返してくるが、だってそうだろう。


そんな出来すぎた話あるはずが…………うんあったわ、残念ながらあっちゃったわ。


「それに、君はなんでも相当な恋愛アンチらしいじゃない。


そしてその理由がこれまで何度も失恋したかららしいわね?」


俺のプライバシー筒抜けすぎワロタ。


そう言うの良くないと思いまーす。


「なら、私のサポート役である副会長になっても問題は無いでしょ?」


「問題でしかないですが?」


「むむぅ……。」


あ、なんか拗ねた。


え、生徒会長ってこんな表情もするんだ...。


ギャップ萌え可愛い...。


は!?いかん!?


うっかり絆されるとこだった……。


「大体俺今試験勉強で忙しいし。」


これだ。


学生の本分は勉強である。


流石にこれを言われれば生徒会長とて引き下がるしか……。


「なんだ、勉強くらい私が幾らでも教えてあげるけど?」


「うっ……。」


確かに成績優秀な生徒会長に勉強を教えて貰える、なんて状況願ったり叶ったりではある。


でもなぁ……。


「まぁ、流石にすぐに入れとは言わないわよ。


ゆっくり考えて決めてくれて良いし、なんなら期間限定とかでも構わないし。」


「悠太、だめかな?


私、今まであんまり悠太と話せなかったから一緒に仕事出来たらなって思ってたんだけど……。


絵美がそう聞いてくる。


確かにこうして改めてまた友達になった訳だが、クラスも違うし機会が無いと絡む機会とかも少ないかもしれない。


「ウチも悠と生徒会とか楽しそうやしえぇと思うで。


男手も欲しかったとこやしね。」


まぁ確かに女子だけじゃキツそうな場面もありそうっちゃありそうだが……。


うーん俺が入った所で役に立つのかしらん……。


まぁでも勉強に関しては今は藁にもすがりたいって感じだしなぁ……。


「まぁ、期間限定で良いなら……。」


「本当に!?嬉しい!」


そう言ってナチュラルに手を握ってくる生徒会長様。


あ、お手々柔らかいしスベスベ……。


じゃなくて!いや、本当そう言うとこですよ!生徒会長様!


僕も男の子なんだからねっ!


そんなこんなで勉強を見てもらう代わりに生徒会の仕事をたまに手伝う、と言うスタンスで協定を結ぶ事になり、現在に至る。


「お兄ちゃん大丈夫?」


「あぁ、まぁ引き受けたからにはそれなりにやるよ。」


「なら良いけど……。


最近ずっと徹夜で勉強してるみたいだし……生徒会の仕事まで……。


私、お兄ちゃんが頑張るなら応援するけど無理して頑張りすぎちゃうお兄ちゃんを見たら心配になるよ。」


「あぁ、気を付けるよ。 」


「うん。


本当に無理しないでね?


あと、何かあったらもっと私の事も頼ってほしいな……。」


言いながら日奈美は、俺の顔のガーゼを悲しそうに見つめる。


「うっ……。」


今回の川崎騒動でも、本当に色んな人に心配をかけたと思う。


母さんなんかショックで卒倒しそうになってたし、日奈美も更に増えたガーゼを見て本当に辛そうな顔をしていた。


「ごめんな、ひーちゃん。


俺が頼りないから心配かけてばっかで。」

 

「うん、確かにお兄ちゃんは頼りないかもだけど。」


「うっ……。」


「でもね、お兄ちゃん。


私は別にいつも頼りになるお兄ちゃんでいて欲しいなんて思ってないよ。


ちょっとくらい弱くたって良い。


不器用でも良い。


だからさ、それで困る時は一緒にどうしたら良いか考えよ?家族なんだから。」


「そうか……そうだな。」


もし、現世でもこんな風に身近に日奈美がいたら。


あんな風に投げやりになって突然の死すらどうでも良くなったりしなかったのだろうか。


そんな事考えたって意味が無いのは分かってる。


だからこそ今はこの幸せな生活をただ守りたいと思わずにはいられない。


「ありがとな、日奈美。」


「うん!」

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