メイド服と薔薇百合事情
「良い!良いよ!悠太こっち見て!!」
早速俺はメイド服を着せられていた…。
そして志麻にガッツリ写真撮影されていた。
黒のワンピースに白エプロンタイプのシンプルなメイド服。
メイド服に合わせてか髪はツインテールのウィッグを付けている。
顔には瑞穂がガッツリメイクを施しており、顔立ちがなんか女子っぽくなった気がしないでもない…。
「あ、ちなみにこのリップあたしの使いかけだから。
関節キスだね?」
「ブフッ!?」
そう言ってニヤニヤとする瑞穂に思わず吹き出す。
「ズルい!悠太!次は私の!」
「志麻だけにしません…。」
「酷い!ぴえん…。」
それ久しぶりに聞いたな…。
なんか今は死語らしいぞ…。
胸元にはせっかくなら巨乳にしようと瑞穂が笑いながらタオルを突っ込んだのだが、ズルい私もと志麻が更に突っ込んで見事な爆乳メイドにさせられていた。
瑞穂が予備の下着を押し付けようとしてきたが、それは断固として拒否した。
異論は認めない!
それにしても…。
当然ながらスカートなんて履くことが無い俺はその着心地に相当な違和感を感じていた…。
なんと言うかめちゃくちゃ足元がスースーする。
「も、もう良いだろ…?
っておい志麻!?スカートをめくろうとするんじゃない!お前はスカートじゃなくてストーカーだから!」
「だって悠太が可愛いからつい…。」
「いや、ついじゃない…。
それが許されたら世の中性犯罪者だらけになってしまうぞ…。」
「同性だから良いんだもん!」
「異性だバカ野郎w」
「我ながら上出来かなぁ。
可愛いじゃん、悠太。」
「男に可愛いはやめろ…。
検索したら男が嫌がる褒め言葉の上位に出てくるやつだぞ…。」
「えー?良いじゃん。
今は女の子なんだし?」
ニヤニヤとそんな事を言う瑞穂。
ったく誰のせいだと思って…!
って…それよりこんな姿日奈実に見られたら…!?
「お兄ちゃんいつまでやって…ってお兄ちゃん!?」
言ってたら狙ったようなタイミングで!?
「ゆ、悠君なん!?
な、なんと言うか…。」
美江も俺を見て驚いた顔をする。
その後に少し顔を赤くしながらチラチラと視線を向けてくる。
「み、見るな!」
途端に恥ずかしさが込み上げてきた…!
「い、いやだって…その…。」
「な、なんて言うか凄く…」
まじまじとこちらを見てくる日奈実、美江組。
「悠にぃ可愛い!」
そんな二人の想いを代弁するかのように目を輝かせた茉里愛が抱きついてくる。
「わっ…ちょ!?」
「お、悠さん可愛いくなったねー。」
同じく驚いた顔の智成。
「女装子とイケメンは邪道かと思ってたけどこれはこれでありかも…!
津川先輩…グッジョブ!」
言いながらサムズアップする美紀。
とりあえず鼻血拭きなさい…。
「いや…絶対智君の方が似合うだろこれ…。」
「勿論逆もあり!!
あ、でも出来たら片方だけが良いかなぁ…。
ウチは百合より薔薇の方が好きだから…。」
うん、ハッチー、花の話だよね...?あと鼻血…。
いやはなはなうるさいなw
「わー!悠さん可愛い!私もやりたい!」
それを見た八重音はさりげなく女装させる側に参加しようとしてる…。
「お、灰崎さんもやりたい?良いよ、一緒にやろ。」
あと瑞穂、勝手に許可するんじゃない…。
本人の意思がまだですよ!
「ゆ、悠太さん男なのにあんなに大きくなって…私だってまだ成長期だから…成長期だから…。」
あ、こっちはこっちでロリ天使がなんか闇堕ちしてる…。
「いやこれタオルだから…。」
「そ、そうですよね!いきなりそんなに大きくなる訳ないですもんね!
うん、まだ成長期だから…!きっと少しずつ…!」
いや必死過ぎて草。
「分かるよ…リオちん…。」
瑞穂がリオの肩にポンと手を置く…。
「瑞穂さん!」
なんか手を握りあってるし…。
てか俺をこんなにしたのはお前だからな…瑞穂…。
「あれ、こんなとこで何してんだ?」
なんて言ってると、そう言って秋名たんが顔を覗かせる。
「うぉっ!?なんか可愛いメイドさんいんじゃん!」
「ひっ…!?」
食い気味に接近してきた秋名たんに思わず声が漏れる。
「秋名たんどうした…あ…。」
入れ替わりに入ってきた宏美は、俺の姿を見て一瞬固まる。
そして、無言でスマホを取り出してパシャリと1枚。
「じゃ、じゃあ私はこれで…。」
「いや待てぇぃ!?」
そのまま無表情で走り去る宏美を呼び止めるも、その姿は一瞬で見えなくる。
姿が完全に視覚から外れた辺りで何あれ!何あれ!と連呼しながら赤くなった顔を隠しながら走り去る宏美を何人かが見たらしい…。
「わ!悠太!?
すごーい!本当に可愛いくなってる!!」
「うっそ!?これホンマに悠なん!?
ヤバない!?」
「げっ…!?」
まさかの生徒会メンバーも登場。
「ふふ、あたしがさっき呼んどいたんだー。」
コイツ…いつの間に!?
「え!?悠ちゃんだったのか!?可愛いすぎて全然分からなかった!!」
で、お前は今頃気付いたんかい…。
あと距離が近い!
女性側視点で見ると秋名たんの接近はこんなに圧を感じる物なのか…。
いや、単純に性別勘違いされてる効果もあるけども…。
「本当に悠太君なの…?
わ、私も写真撮らせてもらって良いかしら?」
一方で呆気に取られてるハルたん会長。
「津川先輩に呼ばれてどんな面白い物が見れるのかと思ったら…私も撮影して良いですか?」
やれやれと言った表情で入ってくる片杉。
「ハルたん会長は良いけどお前はダメだ!
絶対悪用するつもりだろ!?」
「人種差別は如何なものかと思いますが。
別に、ちょっと最近新聞のネタが無かったから使わせてもらおうかなと思っただけですよ。」
「やっぱり悪用する気満々じゃねぇか!?」
「良いの…?ならその、出来たら一緒に撮りたいんだけど…。」
少し照れくさそうにモジモジしながらハルたん会長が言ってくる。
「あ、えっとなら誰かに…」
「いや、良い…。」
って近い!?
棒立ちの秋名たんを押し退けて隣にやってきたハルたん会長はピッタリ肩をくっつけて反対側の腕でスマホを構える。
「ちょっ!? 」
戸惑ってる間にシャッターが鳴らされる。
「うん、上手く撮れてる。」
それを見ながら、まるで宝物でも見るかのように優しく微笑むハルたん会長。
と言うかあのハルたん会長とツーショットか…出来ればこんな形じゃなくて普通にしたかったです!
「案外百合も悪くないな…。」
「え?宮戸さん!?」
仲間に裏切られたかのようなショックな表情を浮かべる美紀。
どっちにしろ俺的には却下なんだよなぁ…。
「え!?私もやりたい!
蘭ちゃん、一緒に撮ろっ!」
「え!ウチも!?」
今度は絵美と蘭ちゃんが両隣にやってくる。
「なら私撮りますよ。」
「おう、片杉。
親切心に見せかけた盗撮はやめろ…?」
「何故ですか?私はネタが入る、そして彼女たちは写真を送ってもらえる。
ウィンウィンじゃないですか。」
「そのウィンウィンに俺が入ってないって言ってんだよ…。」
「悠ちゃん!俺も良いか!?」
「お前もダメだ…。
なんか身の危険感じるし…。」
「いや身の危険て!!」
「じゃあ僕はどうかな?お姫様?」
言いながら顎クイしてくる智成。
「ブハッ!?」
盛大に鼻血を吹き出すハッチーこと美紀…。
「こ、これはこれでダメな気が…!」
クソ!!深くにもドキッとしてしまった、、
「いい!悠太!その表情最高!もっとちょうだい!」
すっかりカメラマン…いやカメラウーマンになった志麻がそんな俺達の様子を待ってましたとばかりに激写していく、、
「か、金澤先輩、その写真、、後でくだ、さい。」
あ、遂にハッチーが倒れた、、
その横にはとも×ゆうしかかたんと鼻血で書かれたダイイングメッセージが…。
いや、これダイイングメッセージじゃないわ…。
あと鼻血だから普通にハッチーじゃなくてばっちぃだわ…。
広島弁で汚いって意味だよ!勉強になったね!
「いやいや…ふざけてる場合ですか…。
私美紀さんを保健室に連れて行ってきますね。」
呆れ顔のリオ。
「…ちょっと待て!千鶴さんには絶対いうなよ!?
フリじゃないからな!?」
その後大急ぎでやってきた千鶴さんにも写真をめちゃくちゃ撮られた。
クソぅ、ロリ天使のやつめ!あいつの使ってる消しゴムの角使いまくってやるからな…!
「地味に嫌なやつ!今時そんな小学生がやりそうな嫌がらせ誰もやらないですよ!?」
「さ、悠太?次々。」
「ちょ、ま、いやぁぁぁぁあ!?」
再び俺の悲鳴が校舎に響き渡った、、




