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彼女にフラれた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう  作者: 遊。


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副会長選挙開幕!

そして。


生徒会副会長選挙当日。


「では、これより生徒会副会長選挙を始めたいと思います。」


全校生徒が集まる中ハルたん会長の宣言で遂に選挙は始まった。


俺と瑞穂は舞台袖からそれを見ている。


反対側の舞台袖には片杉さんがいる、が。


「まずは片杉さんの応援演説からお願いします。」


それに、周囲の生徒、主に1年の生徒達がザワつきはじめる。


「アイツ、マジで立候補してたのかよ...。」


「て言うかアイツの応援演説とかやるやついんの...?」


「あ、俺頼まれたわw」


「マジでw?やんの?」


「いや、やるわけねぇじゃんw


なんの見返りもなきゃあんな奴の応援とか無理だわw」


「それなw」


「まぁ顔だけは可愛いしさ、ワンチャン?」


「いやいやお前あんなのがいい訳!?」


「顔だけはだっつってんだろ?


あの性格は無理だわw」


何とも下品な会話である。


そんな中、舞台に上がったのはどう言う訳か片杉さんだけだった。


そう、向こう側の舞台袖には片杉さんしか居なかったのだ。


「え!?なんで片杉さん?」


「まさか自分で自分の応援演説とかw!?」


「いやいやw幾ら相手が居ないからって自分で自分の演説はねぇだろw」


「無惨過ぎるw」


いや...確かに相方はこの場に居ないみたいだが...。


でもアイツは相手を見つけてるし、実際に組むタイミングも見てる。


でも.....まさか当日になって怖気付いたとか...。


流石にこの人数の前で応援演説は荷が重かったのかも...。


俺がこうして頭で考えている間も、1年達の陰口や嘲笑は止まらない。


「いやwマジ惨めじゃんw」


「こりゃアイツ終わったなw」


「戦う前から負けてんじゃんw


逆に同情するわw」


「でもさぁ、もう一人ももう一人でやばくね?」


「あー?なんか清楚系なのにビッチって言う人っしょ?


でも清楚系だし見た目だけなら普通に可愛いくね?」


「まぁそれは分かる!」


遂には瑞穂への下世話な話まで始まった。


そんな中片杉さんは何も言わずただ下を向いていた。


舞台袖に居る俺ですら聞こえるぐらいだ。


片杉さんだって絶対に聞こえてる。


機械女なんて言われてるらしいがアイツだって人間なのに、だ。


傷つかない筈が無い。


怖くない筈がない。


舞台机に隠れた手が微かに震えているのが見える。


見てられない...。


「ちょ、悠太...?」


立ち上がろうとした俺に瑞穂が驚きの声を上げる。


と、その時。


「お前らぁぁぁぁ!黙って聞いてりゃ好き勝手言いやがって!私はここにいるわ!」


突然の怒声。


それは声が聞こえたタイミングで片杉が机から取り出したタブレットから聞こえているようだった。


タブレットに映っていたのは...朱里陽だ。


いや、朱里陽なのは間違いないのだが...。


どう言う訳か目にハチマキを巻いている。


「ふふふ!リモート、そしてこの目隠しがあれば私でも応援演説が出来る!


我ながらナイスアイデアだろう!」


そんな事を言いながら高笑いする朱里陽。


「部長、時間が押しています。


早く始めてください。」


「お、おぅそうだったな。


カンペカンペ...ってこれではカンペが見れないじゃないか!?」


そんなマヌケ過ぎるミスに全員がずっこける。


この学校の人らノリ良すぎないかしらw


「くそ、私の完璧な作戦にこんな穴があったなんて!」


カンペだけに完璧ってか、やかましいわw


「部長...大丈夫ですか...?」


片杉だけでなく、生徒から教師まで大丈夫かコイツみたいな顔を向けている。


ちなみに俺もそんな視線を向けている一人である...。


「も、問題無い!


こほん!で、ではこれから片杉真進の応援演説を始める。


えーっと、そうだな。


片杉は真面目だ。


それも馬鹿が付くほどな。」


おや...?


「一度言い出したら聞かないし、融通も利かない。


自分が間違ってるって思った事にはとことんこだわる。


しぶといぐらいにネチネチ言ってくる。 」


おやおや...?


「なぁ...おい、これ本当に応援演説か?」


「ただの愚痴じゃね...?」


いや、本当それ...大丈夫かこの人。


「オマケに一度機嫌を損ねたら私が謝るまで口も聞いてくれない。


頑固者でめんどくさいと何度思った事か。」


「部長...そんな風に思ってたんですね...。」


あぁ...ほら、片杉さんちょっと泣きそうになってんじゃん...。


今度こそ止めに入るべきかと思ったところで。


「でも!片杉はさ、その私と同じでちょっと不器用なだけなんだよ!


確かにめんどくさいなって思う時もあるけど!


いつだって真剣で、真面目で、全力で、ひたむきで!生徒会に入ったら絶対に真剣に仕事をしてくれる!


今より良くなるように絶対に頑張ってくれる筈だ!だからこいつの事を応援してやってくれ!


私からは以上だ!」


怒涛の勢いでの演説が終わる。


「ありがとうございます...部長。」


「ふん、別にこれくらい。」


「それはそれとして後でお話があります。」


「いや、ちょ!?あれはその言葉のあやと言うか!?


って...うわぁ!?」


目隠ししたまま後退るから画面の向こうでずっこける部長。


その拍子に目隠しが外れ...。


「う、うわわわ!?


あ、あざした!!」


瞬時にスマホが暗転する。


なんと言うかお約束な展開である...。


「改めまして、この度副会長に立候補した片杉真進です。」


やれやれとため息を一つ吐くと、片杉は改めて全校生徒に目を向ける。


「私が生徒会に入ろうと思ったのは、入学式の日に綾瀬会長の挨拶を聞いてからでした。


私は、今こうして話す事にとても緊張しています。


でも綾瀬会長はとてもハキハキとした挨拶で、私達新入生を迎え入れてくださいました。


それを見ていつか私もそんな風になりたいと思いました。


綾瀬会長に少しでも近付きたいと思い、今回立候補しました。」


それにハルたん会長は一応顔は外面モードだが耳が赤くなってるのがこっちの舞台袖から丸見えである...。


「私が副会長になった暁には、目安箱の設置や、いじめ被害の相談窓口を作ろうと思ってます。」


お?意外とマトモ?


「いじめは犯罪です。


人の心を傷付け、優越感に浸って。


そんな人達はすべからずメディアに掲載されて己の愚かさを思い知らされるべきです。


新聞部はいじめを許しません。」


な、なんだか雲行きが怪しくなってきたぞ...?


「決定的な証拠を掴み必ず奈落の底に突き落としてみせます。」


随分物騒な話である...。


実際周りも何言ってんだコイツみたいな顔してるし...。


「それに、いじめられてる側はきっと自分から誰かに助けを求める事が出来ないのです。


もっと酷くなるかもとか、それなら我慢した方がマシだと思ったりとか...。


でも、そんな人こそ頼ってほしい。


誰か一人がそんな優越感の為に傷付かなくちゃいけないなんて間違ってます。」


そう言う声には、少し怒りのような物が見え隠れしているような気がした。


「なんだあれ...?」


「実はいじめられてたとか?」


「まぁ、あの性格じゃねぇ...。」


「それと、最新型エアコン完備の自習室を確保します。」


お!これは良いんじゃないか?


実際、これに聞いていた奴等の中にさっきまでの怪訝な視線を変えて期待を込めた視線を向ける者もいる。


「マジ!?それなら毎日入り浸るわ。」


「家で勉強とかだるいしなぁ。」


「片杉にしてはいい事言うじゃん!」


まぁ、相変わらず随分な言われようだが...。


「ちなみに、」


ん...?


「この自習室は集中して自習する為の物なので関係の無い私語や勉強するつもりの無い人の利用は禁止とします。」


「は!?」


「なんだよそれ!?」


「差別だろ!」


「やっぱ片杉は片杉だわ!」


好感触になったかと思われた周りの声が一気にまた不満の声に変わる。


確かに片杉らしいと言えば片杉らしい流れである。


「その他にも図書室の本棚の増設や、蔵書の追加も検討します。


蔵書の追加は目安箱にて追加してほしい本を書いて頂く形式です。」


「お!それなら!」


「ただし、追加する蔵書は辞書や参考書、有名な作家の文学作品など授業に関係のある物に限ります。」


またも片杉はそう言って期待に満ちた声をあっさりと断ち切る。


「おかしいだろ!」


「ふざけんなー!」


そりゃまぁそうなるのも無理は無い。


確かに掲げる公約は悪くない。


悪くないが...。


「結局お前が自分の為にやってるだけだろ!?」


そう、条件を付ける事によって自分か自分に近い一部の人間だけが得をする公約となってしまっているのだ。


これでは反感を買うのも仕方ない。


「私からは以上です。」


「あ、ありがとうございます。」


呆気にとられたハルたん会長の挨拶の後、片杉は一礼をして舞台袖に戻っていく。


その間も、悪い意味でのヒソヒソ話が聞こえてくる。


なんとも嫌な空気だ。


それでも片杉は何も言わずにさっさと引っ込んでしまう。


大丈夫かよ...。


「悠太、出番だよ。」


「お、おう。」


なんて人の心配してる場合じゃなかったわ...。


「では次に津川瑞穂の応援演説をお願いします!」


「は、はひ!」


噛んだ、思いっきり噛んだ...!


周りからクスクスと笑い声が聞こえてくる。


どうしようwもう既に帰りたいw


「悠太。 」


「分かってるって...。」


そう言って俺は握り拳を瑞穂に向ける。


「ん。」


それに瑞穂が握り拳を重ねる。


「勝ちに行こうぜ。」


「うん。」

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