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彼女にフラれた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう  作者: 遊。


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賽は投げられた

翌日。


自分の教室に向かっていると、周りを歩く生徒達からやけにチラチラと見られている気がした。


中にはヒソヒソとこれ見よがしにこちらを見ながら喋り出す連中も。


なんだぁ...?


まさかモテ期...な訳ないか。


これは確実に悪いパターンだ。


実際にそういう視線を向けられた事も、差別された事もあるからこそ分かる。


でもなんで急に...?


「いや...まさか!」


急ぎ校門前まで走る。


そしてその近くにある掲示板に目を向ける。


「やっぱり...!」


新しい新聞が掲載されている。


「全然気にしてなかった...。」


改めて内容に目を通す。


「なんだこれ...。」


思わずそんな言葉が口をつく。


〈生徒会副会長を選挙で再選する事が決定した。


選挙日は今のところ未定。


生徒会長ではなく副会長を選挙で決めるのは当校では初の試みである。


一学期の生徒会は会長に綾瀬波瑠、会計に玉井絵美、書記に藤沢蘭で構成されていたが、二学期になり、副会長に津川瑞穂、庶務に三澄悠太が新たに加わる事となった。


綾瀬生徒会長自らが指名して採用されたとの事だが、選ばれた津川瑞穂は停学にもなるほど素行が悪く、普段から問題行動の目立つ津川瑞穂である。


学内では会長と並び二大美少女等と評す者も一定数いるようだが、彼女はその優れた容姿を活かして複数の異性を誑かしては捨て誑かしては捨てを繰り返している。


そんな人間が生徒会に相応しいのだろうかと疑問が残る。


更には一緒に入った三澄悠太は津川瑞穂との交際を噂をされていながら複数の異性を誑かしているようだ。


幾ら人員が足りないからと言ってこんな人員を雇う生徒会長の判断にも不信感を抱かざるを得ない。


そこで今回、我々新聞部から片杉真進を副会長として推薦する事となった。


生徒会をより良い物にする為には早急に人員の選定を見直すべきではないかと考える。


同意して頂ける方は是非片杉真進を応援して頂きたい。〉


と言う文章に加え、先日俺が瑞穂の家でシャワーを浴びた話が洗濯物を渡しながらニヤニヤしてる瑞穂とそれを受け取る俺の写真と共に掲載されていた。


ご丁寧に状況の説明と、だから付き合っているのだろうと言う説明まで...。


「いや...本当なんだこれ...。」


俺と瑞穂が付き合ってるなんてのは第三者の勝手な解釈だし、写真だって普通に肖像権の侵害である。


「あ!悠太!大変だよ!」


と、ここで絵美が慌ただしく駆け寄ってくる。


「絵美...。」


「悠太も見たんだね...。


こんなの酷い!」


「あぁ...。」


確かに片杉はそっちがその気ならとばかりに学校新聞に掲載すると言ってたが、まさか本当にやるとはな...。


「それより何かあったのか?慌ててたみたいだけど。」


「あ!そうなの!


生徒会室に新聞を読んだ生徒が押し寄せて来てるの!!」


「マジかよ...。」


話を聞いて俺と絵美は急いで生徒会室へ。


すると開け放たれた生徒会室のドアには野次馬らしき生徒達の群れが出来ている。


「生徒会長!どう言う事ですか!?」


「いや、だからそれは...」


「ハルたん会長!」


「あ、悠太君...。」


「え!?まさか会長まで!? 」


「清楚系ビッチだけに留まらず会長まで懐柔してたなんて...なんて野郎だ!」


「女の敵!」


「落ち着きなさい、あなた達。


彼はあなた達が思う様な人では...「でも津川瑞穂と付き合ってるんですよね!?」それは...。」


「二大美少女の一人と付き合ってるってだけでもギルティなのにまさか会長まで!クソ!妬ましい!」


話にならないな...。


ハルたん会長の表情からも疲れが出始めてる...。


俺が付き合ってないと否定するのは簡単だがしたところでこの人数を納得させるのは流石に無理がある...。


かと言ってこれ以上ハルたん会長に負担をかけるのも...。


「何この行列。」


と、そこで。


行列の向こう、そう言って現れたのは行列を見てげんなりした表情の瑞穂だ。


「瑞穂...!」


それに気付いたハルたん会長がその名を呼ぶ。


「あぁ、なるほど。


あの新聞の事で抗議しにきたって訳ね。」


「お前...あれ見たのか?」


「まぁ、あんな目立つ所にあればね。」


「出たビッチだ!」


「コイツが...?」


「あのさ、あたしの事をどう思おうが勝手だけどさ。


なんで直接あたしのとこに来ない訳?


ハルたんが困ってんじゃん。」


瑞穂の言葉に、野次馬達の鋭い視線が容赦無く向けられる。


「副会長はあたしがお願いして入れてもらったんだから。


文句があるならあたしに言えば良いじゃん。」


「ちょ、瑞穂...。」


「え、どう言う事...?」


「会長が直々に選んだんじゃないの...?」


「でもなんか名前で呼び合ってるし仲良さそうじゃない...?」


「お願いしたのが津川さんでもだから採用したんじゃ...。」


「おい瑞穂お前.....。」


「ハルたんは関係ない。


あたしの事をどう言おうが思おうが勝手だけど、これ以上ハルたんや生徒会のメンバーを悪く言うならあたしが許さない。」


その声には確かな怒りが滲んでいた。


「い、行こうぜ...。」


それに気圧された何人かがその場を離れると、つられて一人、また一人とその場を離れていき...、最後には俺達だけが取り残される。


「瑞穂...お前。」


「ごめん、ハルたん、悠太も。」


「な、なんで謝って...。」


突然の謝罪に戸惑うハルたん会長。


俺も何も返せなかった。


「だって迷惑かけてるじゃん。」


「それは...!」


「いや、お前だって...!」


「だから、あたしは別に良いんだよ。


アイツらの言う事は間違ってないし、こんな風に批判されるのだってもう慣れてるから。


この生き方だって自分で選んで決めた生き方だもん。


自業自得なんだよ。」


「そんなの...。」


その言葉に辛そうな顔をするハルたん会長。


「そんな辛そうな顔しないでよ。


あたしは大丈夫だってば。」


本当にそうだろうか。


そうやって気丈にふるまっている姿が、あまりにも痛々しく見える。


でも、かける言葉なんて何も思い付かない。


彼女の深く根付いた傷口を癒す事なんて出来ないし、触れさせてすらもらえない。


それが何より苦しくて辛い。


「悠太も。


大丈夫だって言ってんじゃん。


悠太はあたしの味方してくれるんでしょ?」


「それは勿論!」


「それで充分。


大好きな人に味方してもらえるんだもん、こんなに幸せな事ないよ。」


「っ...!?」


そう言って微笑む瑞穂。


あぁ、やっぱり瑞穂には笑顔が似合う。


なら俺は、なんとしてでもその笑顔を守らなくちゃいけない。


そうだよ...。


1番辛いのは瑞穂なんだ。


俺じゃない。


何よりこんなやり方許せる筈がない。


「勝とうぜ、瑞穂。」


「え?」


「アイツらにお前の凄さを思い知らせてやろうぜ。」


「...そうだね、そう来なくっちゃ。」


「私こそごめんなさい...。


無理に誘ったのは私の方なのに嘘まで付かせてしまって...。」


「もぉ!せっかく盛り上がってきたのにネガティブ禁止!


ハルたんは会長なんだからどっしり構えとけばいいんだよ。」


「で、でも...。」


「ハルたん会長、今は瑞穂を信じてやってくれ。」


「悠太君...。」


「絶対瑞穂を勝たせてみせるから。


そしたら今度は5人で打ち上げにでも行こう。」


「良いね!ペット可のカフェ、近くにあるかなぁ...。」


その悠太は悠太じゃなくて俺じゃなくて悠太ですよね...?


え?悠太じゃなくて悠太?


ややこしいわ...。


それには蘭ちゃんも苦笑い...。


「...あなた達の意思は分かったわ...。


立場上あなた達だけを表立って応援する事は出来ないけど......。


私もその...打ち上げには興味があるわ...。」


そう照れくさそうに会長は言う。


「うんうん、任せて!」


それに瑞穂が返す。


これは負けてられないな。


「俺達を敵に回した事、後悔させてやろうぜ。」


「そうだね。」


そう言って、俺と瑞穂は共闘の誓いを込めて握手を交わすのだった。



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