全部終わるまで寝られまてん
「えーっと……とりあえず入る?」
「ん。」
相変わらず機嫌は悪そうだが、とりあえずついてくる。
「あ、宏美さん、どうも。」
先にリビングに居たリオが声をかけてくる。
「へぇ?今度はリオちゃんとなんだ?へぇ?」
「な、なんだよ?
別にリオとは現状報告も兼ねて流し素麺してただけで……。」
「流し素麺……ね。」
あるぇ……?流し素麺駄目?
「えっと、食べる?」
「食べる……。」
あ、普通に食べるんだ……。
「何、悠君ってロリコンだったっけ?」
「馬鹿言え、俺はシスコンだ。」
「いや……それは知ってるけど……まぁ良いや……。 」
なんだぁ……?
「それより私意外の元カノと随分楽しんだみたいだね?」
「うっ……。」
「合宿にも行って?誕生日は皆に盛大に祝ってもらって?
その後にもライブに行ったり大人のデートとやらをしたりえっちな看病したりドッグランに行ったり?」
「うぅっ!?」
なんで宏美がそれを!?
と言うかエピソードにすらなってないドッグランまでバレてて草。
確かに最近犬を飼い始めた恵美とドッグランに行って二人と一匹で駆け回ったけども。
ちなみに恵美は犬に俺の名前を付けてたんだが何故だろう……。
知りたくないなぁ……。
「い、いや美江と瑞穂のは誘われたからだし志麻は普通に風邪引いたから看病しただけだし……。」
「へぇ?それで姫様呼びしたり大人のデートしたり?その、えっちな看病とかするんだ?」
そんな事までバレてんのかよ!?
「いやだからそれは不可抗力と言うか……!」
「不可抗力、ね。」
いや圧w
「そ、そうだよ。
やましい事なんて無いって。」
と言うかなんで俺もこんな風にわざわざ言い訳してるんだろう。
宏美にそれがバレたって別に……いや……これ具体的に把握されたら普通に弱味になるやつだわ……。
「と言うかなんでそんな事宏美が知ってんだよ?
まさかお前も志麻みたいにとうちょ「は?」嘘ですごめんなさい。」
「リタから聞いたの、全部。」
あの小悪魔天使め!!?
「あー……リタなら面白がって言いそうですね……。」
言いながら頭を抱えるリオ。
「兎に角!そーんな充実した夏休みを過ごしてたら当然宿題なんかやってないんじゃない?」
「え、絵日記なら?」
「は?」
「あ、あと算数ドリルとかなら……「ナメてんの?」あ、はいすいません……。」
「なんでそんなもの未だに持ってるんですか……?」
リオにまで呆れられた、、
「と、言うわけで。
今日はみっちり勉強してもらうから。
今日中に終わらせるぐらいの勢いでやってもらうからそのつもりで。」
「え?ちょ、それは……。」
「返事は?」
「HIGH!「は?」」
はいすいませんでした!」
と、言う訳で宏美監修……夏休みの宿題、終わるまで寝られまてん!
始まって参りました!
リオもまだ全部は終わってなかったようで、一緒に参加する。
「私は終わってるし普通に自習してるから分からない所があれば言うように。」
「うす、先生!」
「は?ふざけてる?」
「滅相もありません!?」
そんなこんなで宿題スタート。
「なぁ……宏美……。」
「何?」
「やっぱ怒ってるよな?お前……。」
「そう見えるなら一体誰のせいだろうね?」
ひぃっ!?笑顔が怖いぃ!?
「そ、そう言えば今日じゃなかったですか?」
場の空気に耐えられなくなったのか、リオが話題を振ってくる。
「お、な、何がだ!?」
これは乗るしかない!
ひっ!睨まれた!?
「た、確かこの近くの神社でお祭りがあるとか!」
「へぇ、そうなんだ。」
そう返し、宏美を俺に一瞥を寄越す。
誘えって事か……?
「あ、よ、良かったらこの後三人で行くか?」
「は?」
あるぇ……?なんか間違えた……?
あ!リオも露骨にため息吐いてやがる!?
「まぁ悠君はそうだよね……。」
「ですね……。」
なんか女子二人で勝手に納得し合ってるんですが!?
「でも私は夏祭り興味あります。
天界から見た事はあっても、実際に足を運んだ事はないので。」
「そっか、そうだよね。
なら仕方ないね? 」
いや圧!?
「花火には三人で行こ。」
「お、おう。」
「ただし!
宿題が終わればだけどね。」
「お、おうww」
どうしようw全く終わる気がしないww
「あとリオちゃん、後でさ。」
「え!?本当ですか!?」
「うん、多分大丈夫だと思う。
もし大丈夫なら使って貰えたらこっちも助かるし。」
「なんの話だ?」
「それは勉強のあとのお楽しみ。」
とりあえずゴチャゴチャ言わずにやれ的な圧が凄いwww
まぁ……やるか……。
終わりが全く見えないけど……。
そう頭の中でボヤキながら、仕方なく宿題を始めるのだった。